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Posted By 松山 薫 On 2017年10月24日 @ 5:36 PM In 未分類 | No Comments

< 社説よみくらべ 8 >

8.総選挙の結果について

 第48回衆議院議員総選挙は、10月22日、超大型で強い台風21号の余波による全国的な荒天の下で投票が行われた。465議席の内わけは、自民党が284、立憲民主党 55、希望の党 50、公明党 29、共産党 12、日本維新の会 11、社民党 2、 無所属 22 となった。投票率は戦後2番目に低い 53.68%だった。

各社社説の見出しは次の通り。

讀賣新聞    自民大勝 信任踏まえて政策課題進めよ
朝日新聞    政権継続という審判 多様な民意に目を向けよ
毎日新聞    日本の岐路 「安倍一強」継続 おごらず、国民のために
日経新聞    安倍政権を全面承認したのではない
産経新聞    自公大勝国難克服への強い支持だ 首相は北対応に全力挙げよ
北海道新聞  与党勝利 白紙委任したのではない
河北新報    自公が3分の2 「敵失」の勝利に慢心するな
中日新聞    安倍政権が継続 首相は謙虚に、丁寧に
京都新聞    野党のこれから 自らの足場を固め直せ
中国新聞    安倍政権勝利 「1強」のおごり捨てよ
南日本新聞   「与党」大勝 民意に耳を傾ける謙虚な政権運営を
沖縄タイムス  反辺古 民意揺るがず

 自民党圧勝の原因については、野党の分裂や、準備不足による「敵失」による勝利とみるものが多く、安定志向の有権者が、「政治の安定」を掲げた与党に「他の党よりはまし」ということで投票したのであって、選挙期間中の世論調査の結果を見ても、安倍政権への信任とは言い難いとしている。また、日本の憲政史上最長政権になりうる安倍政権の今後の課題として、憲法改正、デフレ脱却、消費税と社会保障制度のありかた、財政の再建、北朝鮮への対応などが挙げられており、森友・加計問題についても取り上げた11紙(除沖縄タイムス)中、読売、産経以外の9紙が、ひきつづき解明を求めるており、政権の運営に当たっては、安倍政権と与党が、驕りを排し謙虚な姿勢で臨むよう求める論調が圧倒的に多い。

読売新聞社説は、わが国は今、いろいろな課題に直面しており、現在の野党に国のかじ取りを任せるわけにはいかない。政策遂行の総合力のある安倍政権の継続が最も現実的な選択肢であると有権者が判断した結果だろう。ただ公示直後の世論調査で内閣支持率が不支持率を下回ったことを見れば首相は、自
らの政策や政治姿勢が無条件で支持されたと考えるべきではない、と述べている。また、安倍政権の今後の最重要課題として「憲法論議を活発にするよう」主張している。

朝日新聞社説は、有権者は安倍首相の続投を選んだが、選挙結果と民意にはズレがあるとして、選挙結果は、野党が負けたというのが実態で、負けた原因は野党第1党だった民進党の分裂であり、野党が協力関係を再構築することが民意に応える道であると論じている。その上で留意すべきは立憲民主党の躍進であり、枝野代表が訴えた個人尊重と手続重視の民主主義のあり方は、安倍政権との対立軸になりうろとしている。また安倍首相は改憲に力を入れるだろうが、民意は改憲をめぐって多様であり、政権は選挙結果が白紙委任だと考えてはならないと警告している。

毎日新聞社説は、有権者は「安倍1強」の継続を選んだ。小池氏の劇場型手法に多くの有権者が不安を抱き、自民党をよりましと判断したのではないか。安倍政権にとって喫緊の課題は、北朝鮮危機への対応だが、トランプ政権の軍事的圧力傾斜に同調して不測の事態を招かぬよう、細心の注意が必要だとしている。さらに、安倍首相の最終目標が憲法改正にあることは明白であるが、安保法や特定機密保護法の時のように、事を急いだら、国の進路を誤らせると戒めている。

日経新聞社説は、この選挙を一言で総括すれば「野党の自滅」であり、その責任者は、民進党の前原代表と希望の党の小池代表だと断じている。その間にあって躍進した立憲民主党については、リベラルの復権とするのは早計であり、一過性の人気に終わるかもしれないとしている。そして、戦後最長となるかもしれない「安倍一強」政権の課題は、経済の再生という原点であり、「初の憲法改正」という宿願ばかりを追い求め、肝心の原点を忘れるなと忠告している。

産経新聞社説は、北朝鮮危機と少子高齢化という国難を乗り越えるという安倍首相の呼びかけに国民は強い支持を与えたとして、さらなる圧力の強化と共に、ミサイル防衛の充実にとどまらず、敵基地攻撃能力の導入、防衛予算の増額への政治判断を求めたいとしている。そして憲法9条は自衛隊を縛り、国民を守る手立てを妨げるとして、公約である憲法改正への努力を止めるなと提言している。

北海道新聞社説は、今回の自民党の勝利は、野党の敵失に乗じたもので、選挙期間中の多くの世論調査では安倍内閣不支持が支持を上回ったことからも、「安倍1強」への信任ではないし、まして白紙委任ではないと論じ、わけても首相自身が争点とすることを避けた改憲が、国民の信任を得たとは認められないと主張している。北朝鮮情勢については、国民は緊迫ではなく平和解決を求めているという。

河北新報社説は、与党の勝利は、積極的な支持というよりは、他によりましな政党がないという「消去法」によるものだ。首相は改憲に意欲を見せているが、今最優先に取り組むべき課題は、大企業、大都市にもっぱら利益をもたらすアベノミクスの軌道修正だろうと主張し、加計・森友問題もみそぎが済んだわけではなく今後も丁寧が説明が必要だとしている。

中日新聞社説は、結果を見る限り、消費税UP分の使途変更と、圧力に重きを置いた北朝鮮対策は、形の上では有権者の信任を得たことになる。しかし、世論調査では続投を支持されていない安倍首相が勝利したのは小選挙区を軸とした選挙制度によるところが大きいとして、自民党が初めて重点項目とした憲法改正についても、拙速に議論を進めるべきではないと釘を刺している。

京都新聞社説は、立憲民主党が野党第1党になったのは、理念と政策の筋を通したからだ。「草の根の政治」を唱える枝野代表には、公約実現への道筋を示し、「安倍一強」によって拡げられた国民と政治の距離を国民の方へ近づけてほしいと要望するとともに、国会を”まっとうな”議論の場とするための重責を果たしてもらいたいと求めている。

中国新聞社説は、改憲に前向きな勢力が3分の2を超え、改憲への動きが加速しそうだが、反対の立憲民主党が躍進するなど慎重な意見が国民の間に多いことを忘れてはならない。北朝鮮対応は圧力一辺倒では不測の事態も懸念される。対話のドアは常に開けておかねばなるまいと論じ、いずれの課題にもしっかりした説明と慎重な議論が必要だとしている。

南日本新聞社説は、選挙後最大の焦点は憲法改正の行方だ。その際首相がどの政党と連携するのか目が離せない。安倍政権は憲法をないがしろにする動きが目立つ。これをチェックする強い野党が出てくるかどうか。北朝鮮問題には与党も野党もないと思うが、対外危機には政権に支持が集まる傾向がある。首相はその点も織り込んでいるのではないか、と論じている。

沖縄タイムス社説は、沖縄での選挙結果は、自民党が圧勝した全国とは対照的であり、安倍政権の基地政策や強引な国会運営に対する批判にとどまらず、沖縄に対する不公平な取り扱いに対する異議申し立てが、広く県民の間に共有されていることを物語っているとしている。

さて、私の感想と意見です。

 与党圧勝、野党惨敗の戦犯は、希望の党の小池百合子代表と民進党の前原代表だ。二人とも代表をやめるのは当然であり、前原氏は国会議員も辞職すべきだろう。累々たる仲間たちの屍の上に、大将たる自分が腹を切らずになにができるというのか。

これに反して、かろうじて今回の選挙に意義があったとすれば、立憲民主党の躍進だろう。たった一人で結党宣言をする枝野代表を見て、私は、日本の政治家も捨てたもんじゃないと、胸を打たれた。

明暗を分けたものは、政治家として、いやそれ以上に人間としての「いさぎよさ」だろうと私は感じた。司馬遼太郎が言っているように、日本人には「いさぎよさ」を大切にする心がある。

「いさぎよさ」といえば、私は石橋湛山をジャーナリストとして、政治家として高く評価している。枝野代表には「いさぎよさ」だけでなく、軍部絶対の体制の中で、チエを尽くして自らの理念を貫こうと戦ったこの先達を見習ってほしい。大山鳴動して鼠一匹と書いた社説があったが、飛び出した「立民」という鼠が、ドラ猫を噛む日が来るのを多くの国民が待っている。

 社説の多くが、加計・森友問題の解明を求めているが、私も同感である。この問題は単なるスキャンダルではなく、この国の社会の根幹につながる問題だと思うからだ。選挙期間中に明らかになった日産自動車や神戸製鋼の不正事件をはじめ、この数年次々に明るみに出た大企業の反社会的事件は、競争第一主義と勝つために手段を択ばない土壌に根差したものであるからだ。小池代表は、「しがらみの政治」からの脱却を公約に掲げたが、「希望の党」に希望があるとすれば、加計。森友問題の解明に当たって、その公約を徹底的に押し通せるかどうかだろう。

それにしても、今回も、政治家を家業とするがごとき世襲候補の当選が目立った。世襲候補の跋扈とその弊害については、先にこのブログで詳述したが、これこそまさに「しがらみの政治」の象徴ではないか。これから、ひとりひとりの当選者について素性を調べ、いずれ再論したいと考えている。
(M)


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