教材開発や教育機器開発(*2)

    応用言語学と視聴覚教育理論に基づく
教材・機器の開発例は以下の通り。
 
 
  (1) 英単語学習機器  
    松下電器株式会社研究所とカリフォルニア大学バークレー校理論物理学研究室との共同研究。音声認識、音声合成及びランダム・アクセスの原理を応用して、英単語を個人学習できる機器の開発に着手。実験を重ねた結果プロトタイプの完成を見たが、同時期にテキサス・インストルメントが更に高性能の機器をマーケットに提供し、我々の研究開発は中断のやむなきに至った。  
       
  (2) 円盤式反復音声再生装置  
    硬質ビニールの円盤に極小の溝を切り、数条の溝の上を針が移動したのちに元の溝に戻る方式を開発。これにより、1文の長さが20秒の単文を反復再生し聴解・反復練習できるシステムを完成した。画期的な語学練習装置として喧伝されたが、やがてより高度の装置が登場することにより、この装置は消滅した。(フジテレビ研究グループとの共同研究による)  
       
  (3) カード式録音・再生機器  
    幼児英語教育の為の個人使用を目的とした機器の開発と、この機器を利用する教材のプログラム化。磁気テープを接着したカードを機器に挿入することによって、あらかじめ録音されている英文を聞き、それをまねて録音することが出来る。モデルと自分の発音を比較して聞き取り、発音矯正にも利用できるようなカリキュラムも用意した。(アート印刷株式会社研究グループとの共同開発)  
       
  (4) 「テレフォン英会話」
 
    YMCAとの共同開発。学習者が指定された番号にダイヤルすると、2分45秒の会話レッスンが受けられるというシステム。当時同種のプログラムが複数存在したが、YMCAの場合には、英語学習への興味を喚起することを主たるねらいとした。放送教育におけるbasic presentationの原理を応用したプログラムの快活を主たる目的とした。  
       
  (5) 「ビデオ英会話」  
    東芝電気株式会社、TBS―TV、サイマル・インターナショナルの3者が共同で開発した映像による英語会話学習システムの総合プロデユーサーを務めた。VHDデイスクを利用し、ヨーロッパ、アメリカにロケを行い、プロの俳優を動員して作成した教材。チャプターを選択して自由に学習箇所を選べるシステムは当時最新の技術を用いた画期的なものであった。