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< 社説よみくらべ 7 >

7.総選挙の公示にあたって

 第48回衆議院議員選挙が10月10日に公示され、各紙はこぞって、選挙の意義や争点などについて社説を掲載した。

 各社社説の見出しは次の通り。

讀賣新聞   「安倍政権の信任が問われる」
朝日新聞   「安倍政権への審判 民意こそ、政治を動かす」
毎日新聞   「日本の岐路 ”よりまし”を問う12日間」
日経新聞   「次世代に責任ある経済政策論議を」
産経新聞   「複数の選択肢ないまゝか」
東京新聞   「公示第1声 原発何故語らないのか」 
北海道新聞  「暮らしの視点も大切に」
河北新報   「安倍政治の総括 問われる」
京都新聞   「訴え見極め未来選ぼう」
中国新聞   「政策の深掘り求めたい」
西日本新聞  「政権選択の政策論争こそ」
琉球新報   「沖縄の民意示す機会に」

各紙社説が選挙の争点として挙げているものは次の通り。

読売新聞   政権選択、北朝鮮の脅威、消費税と財源、教育、雇用、政治家の劣化
朝日新聞   安倍一強政治への審判、少子高齢化、原発、米国や近隣諸国とどう向き合うか
毎日新聞   安倍政治、憲法改正、原発政策、普天間基地移設計画
日経新聞   消費税、成長戦略
産経新聞   政権選択、北朝鮮政策、少子化対策
東京新聞   原発、福島の再生
北海道新聞  憲法改正、消費税、北海道の地域経済
河北新報   安倍政権の総括、北朝鮮情勢への対応、震災の風化
京都新聞   政権の選択
中国新聞   安倍首相の政治手法、憲法改正、原発政策、消費税と社会保障の財源
西日本新聞  政権選択、消費税
琉球新報   憲法改正、安倍政治の是非、米軍基地

< さて私の意見です >
 私は、今度の選挙の最大の争点は、北朝鮮をめぐる安全保障問題だと考えている。したがって、総選挙を行う意義を「消費税増税の使途の変更と北朝鮮をめぐる国難について民意を問う」とした安倍政権の問題意識には合点がいく。ただし、北朝鮮問題についてのこれまでの安倍政権の対応には全く同調できない。

 「国難とは大げさな」という意見もあるが、対応を誤れば、日本列島を放射能の劫火が覆うことになりかねないから、国難と言ってもよいのではないか。国難というと私は子供の頃によく歌った「元寇」の歌を思い出す。「四百余州をこぞる、10万余騎の敵、国難ここに見る、弘安四年夏の頃・・・」。

 この時、九州北部に上陸した元軍は、近代装備と集団戦法で、日本の武士団を圧倒し、日本の敗戦は必至とみられたが、”神風”によって救われた。先の大戦の末期にも、国民の多くが”神風”を期待したが、空しかった。だから今回は、国民が力を合わせて、自力で国難を解決するしか方法はない。総選挙はそのための絶好の機会であると思う。 

 「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」と孫子は言う。まずそこから始めなければならない。
北朝鮮の核兵器については、このブログに連載した「北の核」(2013-3-9~4-8)で詳述した。現状認識について、安倍首相は「北朝鮮は核保有国である」と述べたが、私も同意見だ。「戦争論」では、潜在敵国が顕在敵国に代わるのは「軍備の充実」と「侵略の意図」であるという。後者についても金正恩は「日本に対する恨みをはらす」と発言しているから、「攻撃の意図」は十分にあると言ってよいだろう。何故、北朝鮮の人達が日本に恨みを抱いているのか。我々はそれを真剣に考え、学んだたことがあるのだろうか。

 これに対して日本のミサイル防衛システムは万全ではないし、軍備はいたちごっこだから、万全にはなりえない。北が日本を攻撃するには、開発中の長距離弾道ミサイルは必要ない。すでに、日本を標的に数百基から千基を実戦配備しているというスカッド(射程800km)やテポドン(1300km)で十分だ。北朝鮮から600㎞~1000㎞にある日本海沿岸には約10分から20分で着弾するが、ここには玄海、美浜、志賀、柏崎・刈羽と、ずらり原発が立ち並ぶ。原子炉や使済み核燃料貯蔵施設を破壊されれば、偏西風にのって放射能物質が、日本列島を覆うことになる。中国の核実験による“死の灰”がそれを証明した。

 安倍首相は、トランプ大統領の親友だそうで、日米同盟の深化や両国間の100%の信頼関係を
抑止力と考えているようだが、これはかえって、北朝鮮に日本攻撃の口実をあたえるものになりかねない。アメリカが北朝鮮に対して軍事オプションを選択すれば、北にはアメリカ本土に届くミサイルはまだ持っていないから、日米一体とみなして、攻撃されるのは日本の米軍基地や都市となる。そうなった場合の被害をアメリカの大学の研究チームは100万人単位になると推計している。
   
歴史に鑑みれば、戦争は当事者の意図を超えてエスカレートしていく。 北朝鮮の壊滅を中国やロシアが座視することはないだろう。アメリカ上院のコーカー外交委員長が指摘しているように、アメリカと北朝鮮の軍事衝突が第3次世界大戦の引き金になるという意見も出てはじめている。

 総選挙で多数はとなった政党による次の政権は、北朝鮮問題をめぐってまさに正念場に立たされることになる。だから、私は、北朝鮮問題こそ、今度の選挙の最大の争点であると考えているのである。

公示の日の朝日新聞に、北朝鮮問題についての評論家の保坂正康氏の論評が載っていた。
日中交渉を打ち切った当時の近衛文麿首相が「非常な失敗だった」と述懐した手記を引用して「
どんな相手であっても交渉の線を残すのが基本であると述べている。

次元は違うが、私も組合役員として何十回もの労使交渉に臨み、交渉の線を残しておけば、どんなにもつれた糸もやがてほどける糸口になることを体験した。ジャーナリストの田原総一朗氏は、安倍首相に訪朝を進めたという。総選挙の最大の争点が政権の選択ならば、次の首相には、国民の運命をかけて、アメリカを説得し、ピョンヤンへ向かう決意を持った人物を選べるような結果を期待したい。(M)