Archive for 6月 11th, 2012

“景気”とは何か?という問題
(1)野党は「景気の悪い時に増税すべきではない」と主張しています。この意見は与党内にもあります。自民党は、「マニュフェストに明記しておけばよい」との意見のようです。本音は“解散総選挙”にあるのですから、「民主党の前回の選挙はマニュフェスト違反だ」と訴えたいのでしょうが、どうも議員たちの言い分は支離滅裂で、あまり信用出来ない気がします。“信用”と言えば、野田首相はどうして簡単に電力会社の言うことを信用してしまうのでしょうか。

(2)確かに予期しない大規模停電が起きれば、命を落とす人も出る可能性があります。しかし、野田首相の原発再稼働の根拠は関西電力の言分を鵜呑みにしたものです。実際は再稼働しなくてもまだ電力には余裕があるはずという報道もあります。そういう報道の根拠などもよく調べて国民に説明をすべきです。調べると言っても、3.11の菅元首相のように、自分でやる必要はありません。信頼出来る部下にやらせればよいことです。指導者は“人の使い方”もよく知っているべきです。

(3)“景気”の問題に戻ることにします。日本の政治家は気軽に、「景気さえ良くなれば」と言いますが、現在のようなグローバル化した経済状況の中で、しかも日本のように物を作る資源も輸入に頼る国が、「物を作り、それを売って儲ける」ことなど簡単に回復出来るとは思えません。“世界大恐慌”というのは、資本主義の持病のようなもので、生産力が上がれば物が余って売れなくなり、労働者は失業するという悪循環を繰り返してきたわけです。1930年頃の大恐慌は、やがて日本の軍国主義を生むことになりました。不景気は、景気の回復をすればよいといった単純な現象ではないのです。

(4)それにしても、日本のテレビは呑気ですね。タレントばかり数十人を集めて、“クイズ”や“食べ競べ”などをやっています。大勢いても、ほとんどが他の番組でも見かける顔馴染みです。つまり、彼らだけが相当の額の出演料をもらっていて、月給数千円しか貰えないタレントが他に沢山いるのです。NHK は民放よりはましで、特別報道番組で、「不景気の中でどう生き抜くか」という問題を各界の代表や一般市民を集めて、討論していました。財力が無くても知恵と工夫でなんとか生き抜こうとする人たちの声を聞くことが出来ました。

(5)読売新聞(2012年6月10日)は、第1面の「地球を読む」というコラムで、米外交問題評議会会長のリチャード・ハース氏の記事を載せています。「政治課題も国境なき時代」と題して、「自分で全てを決められる国は1つもない」とし、「どの国も完全な自立や独立を享受することはできない」と説いています。さらに新聞の第2面に続けて、景気が鈍化しているばかりでなく、国民の意識が拡散して、指導者たちが国民の意思がどこにあるかが分かりにくくなっていることを指摘しています。しかも、世界人口の3分の1以上を占める中国とインドにも景気の陰りが見え始めたとも述べています。

(6)それほど悲観的ではないとする見解もあるかも知れませんが、日本も昔の夢を追うのではなく、新しい分野、例えば、医学、薬品、細胞研究などの業績をもっと伸ばすべきでしょう。日本人の”器用さ”はまだまだ捨てたものではないと思います。こういうことを取り上げる民放の番組もないわけではありませんが、他の話題と違って滅多に繰り返しませんから、人目に触れる機会も少ないのです。テレビ関係者は猛省してもらいたいものです。大震災に加えて、大不況と正に“国難”の時代なのですから。(この回終り)