Archive for 11月 7th, 2014

英語を使えるようにするためには学校で教えられることだけに頼ってはならない、と私は前回書きました。しかしそのためには、まず学校外で英語に取り組む時間を工夫して作り出す必要があります。そうして自分で学びの環境を整える努力をするのです。それがなかなか難しいのだ、という声があちこちから聞こえてきます。確かに難しいでしょう。学生も社会人も、現代人はなべて忙しい。やるべきことがわんさとある。しかも、日本で生活しているかぎり英語を使う機会は極度に乏しい。学校や会社で英語を使わなくてはならない時間があればまだしも、それもほとんどない。後になっていざ英語を必要とする事態に直面してあわてる、というのが普通のことになっています。しかしそれから始めたのでは間に合わないことがあります。少なくとも、そういう事態になってもあわてずに、即座に間に合わせることができるように備えておく必要があります。

学びの時間を新しく生み出すためには、今の生活から何かを捨てるか、減らすかしなければなりません。あなたは何を捨てることができますか。何の時間を減らすことができますか。誰もが最初に考えつくのは睡眠を減らすことのようです。しかしこれはいけません。睡眠はただ疲労を取り除くために休むだけのものではないからです。近年の睡眠に関する科学は、私たちに驚くべきことを教えています。それは、目覚めている間に収集した膨大な情報を整理し、保存しておく必要があると判断されたものを長期記憶に送り込むという、非常に重要な活動を行っているのです。私たちは目覚めている間だけ学んでいるわけではありません。学習は覚醒時と睡眠時の両方で進行しているのです。ですから睡眠を減らそうなどと考えてはいけません。むしろ増やすことを考えてください。睡眠時間をたっぷりと取って、毎日質の良い睡眠を取るようにしてください。目が覚めているはずの時間にしばしば眠気をもよおすようではいけません。

目覚めている間に行っている活動から何を削るかは個人によって違います。年齢によっても違うし、たぶん女性と男性では違うでしょう。たとえば筆者のような高齢者から見ると、若者たちがケイタイに夢中になっているのは感心しません。それらをぜったい使ってはいけないとは考えていませんが、道路を歩きながら(時には横断歩道を渡りながらも)ケイタイやスマホから目を離せない人たちを見ると、かなり異常な事態が起こっているように思えます。事実、高校生などには一日中スマホを手放せないという、憂慮すべき依存症状が蔓延しているということです。そういう症状にかかると、自分の使える時間が極度に制限されることになりますから、その影響は甚大だと思います。そういう生徒は学校で教えられる学課のおさらいする時間も、限りなくゼロに近いことでしょう。

仕事に就いている一般社会人の多くは、仕事で必要としないかぎり、英語を使ったり学んだりすることはないかもしれません。しかし経済のグローバル化に伴って、普通の会社員でも仕事の上で英語を必要とする機会が増加しているようです。社員に英語の使用を義務づける会社も出てきました。数年前(2010年)、ユニクロと楽天が社内の公用語を英語にするというのでニュースになりました。その是非はともかく、そのようなことを考えなくてはならない時代になったということです。そういう会社の社員にとって一番の問題は、英語を学ぶ時間を確保することではないかと思います。あわてても仕方がありません。会社の残業を減らしたり、友人との吞み会の回数をへらしたりして、毎週数時間の学びの時間を確保することから始めなくてはならないでしょう。

一方、退職した高齢者は時間に縛られることがないので、しようと思えば何でもできる恵まれた境遇にいます。もう仕事の上で英語を必要とすることはなくなるかもしれませんが、多少でも英語を使ってきた人たちにとっては、停年まで積み重ねてきた英語の知識や技能をそのままにしておくのはもったいないことです。筆者の経験では、言葉は歳を取るほどその面白さが増すものです。ボケの防止もかねて、趣味として英語の学習を続けるという選択があってもよいのではないでしょうか。死ぬまで学ぶことがあるというのは、実に楽しいものです。

さて学びの時間を確保できたら、その時間をいかに有効に使うかを考える必要があります。それをどのように使うかはもちろん個人によって違いますから、一概に述べることはできません。しかしどういう点に注意したらよいかについて知ることは、英語を学んでいるすべての年齢の人々にとって有益でしょう。 (To be continued.)