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「野田首相の言動」で考えたこと
(1)「近いうちに」と解散が近いと思わせておいて居座ることになってしまった野田首相に批判の声があるようですが、実際は政治に無関心な者がますます多くなったようです。しかも、騙されたはずの自民党も“三党合意”を無視して不信任案に賛成したりして、脚元がしっかりしていません。その間(9月8・9日)には、野田首相はロシアAPEC に出席して、中国国家主席と会談したり、韓国大統領とは握手をしたりしています。さらにロシアとは、資源開発や北方領土の話をしたとも報じられています。

(2)外交交渉というものは、なるべく友好的な雰囲気の中で、長く続ける覚悟が必要なわけですから、ここでまた日本の外務大臣や首相が交代してしまうのは望ましくないことだとは思います。それにしても、野田首相のように、国民までも騙すようでは、“無党派層”が増えるばかりでしょう。「だから野田首相でいい」という意味ではなく、居座るなら、多くの国民を納得させるだけの説明をすべきだと思います。

(3)ところで、この「近いううち」が、英語でどう報じられているかに関して、旧友の奥津文夫氏(ことわざ学会会長)が知らせてくれました。仏の AFP 通信は ”in the near future” と表現し、ロイター通信は“soon”と訳していたそうです。ただし、前者はやや硬い表現で、日常の表現では、“soon” や“one of these days” が使われると奥津氏はコメントしています。私は、「日英比較文化学会」には時々出席してお世話になっていますが、奥津氏はこの学会の会長でもあって、会合の挨拶では、必ずいくつかの諺を引用して、興味ある、そして為になる話をしてくれます。

(4)さらに、奥津氏は英語には、”One of these days is none of these days.” という諺があって、それは、「近いうちにという日はない=近いうちにという言葉は当てにならない」という意味だと教えてくれました。私はこの諺は知りませんでしたので、「さすが、ことわざ研究の大家だなあ」と感心もし、勉強になりました。そして、ひょっとしたら、野田首相はこの諺を知っていたのかも知れないと考えたりしました。そんなことはないでしょうが。

(5)今朝(9月9日)の、TBS テレビ「時事放談」は、石破氏(自民党前政務会長)と前原氏(民主党政調会長)が出演していました。石破氏は重要なポストを歴任していますから、知識も豊富な論客です。前原氏も民主党が野党の頃の代表を務めたほどですから、話もうまく、落ち着いて話せる人物です。ただし、「いざという時には冷静さを失う危険性がある」と私は感じています。民主党が政権についた時は、八ッ場ダムに行きもしないで、「工事中止」を宣言するような軽率なところがありました。

(6)この時事放談は、出演者に人材を得ても、「双方の意見を聴く」というだけの番組になっています。そういう意味で、御厨貴(みくりや・たかし)氏の司会にも大きな不満があります。米国の大統領選では、クリントン元大統領が、オバマ大統領の応援で、現役時代よりもはるかに勝る名演説をしたと報道されています。アメリカでは、政治家にはスピーチ・ライター(speechwriter)が付いていて、巧みな演出をします。日本の政治家も、官僚の書いた文書を読むのではなく、自ら書いた原稿を専門家に手直ししてもらうような演出をしたらよいのにと私は思います。(この回終り)