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音読練習と朗読によって暗誦できるほどになったテキストは、さまざまな形の発表活動に発展させることができます。口頭によるそのような発表を、最近はプレゼンテーション(presentation)と呼んでいます。広義には文書による発表も含みますが、ここでは主として口頭による発表を考えます。

 口頭発表だけに限っても、いろいろな形のプレゼンテーションがあります。発表者が一方的にしゃべりまくるものから、実演や音声機器、スライド、ヴィデオなどを使って説明するものまでさまざまです。そう言えば、学校における授業の大部分が、教師によるプレゼンテーションです。教師は50分の授業の中で、まず今日予定されたテキストの内容を生徒に理解させようとします。あるときは口頭説明で、あるときは板書や実演によって、またあるときは視聴覚機器を使って、できるだけ効率的にそのテキストの内容を理解させようとします。これはプレゼンテーション以外の何物でもありません。ここで取り上げるプレゼンテーションは、理解したテキストを基にして、こんどは生徒が行なうプレゼンテーションです。

 そこで3つのタイプのプレゼンテーションを取り上げることにします。それらは特に珍しいものではなく、できるだけ生徒に英語を話させようと努力する教師たちが、すでに多くの教室で実行しているものです。筆者も長い教員時代を振り返って、これらが比較的に容易に実行でき、持続性があり、しかも効果があると確信できたものです。

 <タイプ1> 物語を語る(story-telling):物語性のあるテキストであれば、その物語を追って話すことはさほど難しくありません。Read and Look-upがスムーズにできるようになれば、テキストを下に置いて、ほとんど顔を上げたまま言えるようになります。パラグラフの最初だけちょっとテキストを見て確認するくらいですみます。無理に暗記するように言われると、生徒は語句の小さな単位にこだわるために、文章の流れを見失ってしまいがちです。それが棒暗記と言われるものです。意識が意味よりも形式に向いてしまうのです。それよりも、時々テキストに目を向けて、次に言うべきことを確認しながら話すほうが自然です。そのほうが意味的にまとまりのあるチャンクをワーキング・メモリーの中に保持し、処理することが容易になるからです。したがって、実際に出てくる語句がテキストと違っていてもかまいません。むしろ、自分の使い慣れた語句に置き換えられるのが自然です。

<タイプ2>  実物・絵・図表などを使って説明する(show and tell):誰かの書いたテキストを暗記してそのまま語るという活動は、考えてみると不自然な活動であり、通常のプレゼンテーションではあり得ません。スピーチでも、自分が書いた原稿を丸暗記してそのまま語ることはあまりないでしょう。原稿から目を離し、聴衆を見ながら話す場合には、原稿とはかなり違ったものになることは自然なことです。誰かの文章を引用する場合には、そのテキストを朗読すればよいわけで、暗誦する必要はありません。テキストに書かれている重要な内容を他者に伝えるという形のプレゼンテーションとして、このshow and tellはとても重要です。内容によって実物・イラスト・地図・図表など、可能なものは何でも利用します。最近の学会での口頭発表の多くもそうです。発表者がひたすらペーパーを読むというのはもう過去のものになりつつあります。教科書のテキストも、その内容についてのプレゼンテーションにはいろいろな工夫ができますし、生徒にそれを考えさせるとよいでしょう。

<タイプ3> 要点を語る(gist-telling):これはテキストの内容を要約して語るという形のプレゼンテーションで、生徒にはなかなか難度の高い活動です。それができるようになるためには、いくつかの段階を経る必要があります。Read and Look-upとQuestions and Answersがスムーズにできるようになれば、この活動に移行することが容易になるでしょう。さらに、生徒がクラスの前に出てプレゼンテーションを行なうことができるように、テキストの要約をノートに書いたり、要点を箇条書きにまとめたりするなどのタスクを与えることができます。教師はその間クラスの中を巡回して生徒の相談に乗ることが必要でしょう。このタスクを二三人のグループで行なうように工夫することもできます。その後で幾人かの生徒に発表してもらいます。

 このような生徒によるプレゼンテーションを実行するのに障碍となるのがクラスサイズです。そういう活動を取り入れたいがクラスの人数が多すぎて実行不可能だという声をしばしば耳にします。実際にどうしたらよいのでしょうか。これはしっかりと考えておかなければならない問題です。(To be continued.)