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「難病者の発言」で考えたこと
(1)12月4日(火)・5日(水)の二晩にわたって、安積遊歩(あづみ・ゆうほ)という方の「車椅子から見える人間社会」という話を聞きました。私はそれまでこの人のことを知りませんでしたが、生まれたときから、骨がすぐに折れてしまう難病を持っていて、身長も1メートル少しで伸びなくなってしまったそうです。世間で言う“重度の身体障害者”なのです。インターネットで、「(NHK ラジオ深夜便)安積遊歩」と検索すると、彼女の明るい笑顔を見ることが出来ます。

(2)私が聞いていて驚いたのは、安積さんは、はきはきとした話し方で、その日本語がとても正確なことでした。前回のこのブログで私は、日本人が話す時の気になる“口ぐせ”のことを書きましたが、安積さんの話し方にはそういう“口ぐせ”がありませんし、むしろ問いかけるアナウンサーのほうが、口ごもることが多かったように思います。アナウンサーが、「貴女は骨が正常でないですから…」のように言いかけると、安積さんは、「なぜ“正常”を基準にされるのですか」と反論するのです。確かに、障害の無い人間は、自分たちが普通であって、そうでない人たちを“異常者”と呼んで平気です。

(3)この世の中は、“正常者”のほうが多いですから、“少数者”(マイノリティ)を差別してはいけないという意識を忘れないでいることは易しいことではありません。私自身も骨折をしてから、まだ歩くのが少し不自由ですが、外を歩いてみると、如何にでこぼこの道が多いかに驚きます。新築の家やスーパーなどでは、車いすが通りやすいようにバリアーフリーに配慮はしてありますが、駅近くの路上などは、点字ブロックの上に平気で自転車が置き去りになっていて、人々の無関心さがわかります。

(4)そういう身障者に不利な状況にあって、安積さんは、明るく仲間を励ますばかりでなく、世界各国に招かれて講演しているとのことです。日本では、乙武洋匡(おとたけ・ひろただ)氏が、生まれつき両腕が無い状態で、明るく頑張っている様子がテレビで紹介されることがあります。また、彼は検定教科書の題材にも取り上げられましたが、自らも教員免許を取得して若い世代の教育に貢献しています。今年で70歳になるイギリスの理論物理学者のホーキング博士も、車いすの重度障害者ですが、現在でも、コンピュータによる合成音声に頼りながら、講演をしているとのことです。

(5)こういう人々の精神力は驚嘆に値しますが、その一方では、恥ずかしいことですが、身体障害者の支援を口実に義援金を集めて詐取した事件が大阪であったばかりです。しかも、NPO の理事長や理事をしている人物です。こういう人間には刑務所で、安積さんの話の録音を四六時中聞かせてやったらいいと思います。

(6)総選挙の投票日が近づいて、各候補者は追い込みに懸命です。自分が当選すれば、明日にでも景気が良くなるようなことを言っている候補者が多いですが、政治家よりもはるかに発信力のある身体障害者がいることを肝に銘じて、肌理の細かい政治を実践してもらいたいと思います。(この回終り)