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(126)英語との付き合い—42

<英語を学ぶ日本人の考え方>(4)

英語を学ぶ日本人の考え方 (1)英語を学ぶ目的  (2)どんな英語が必要か (3)英語学習の心がまえ に続く。

4.学習の方法

● アンケート回答者の選択 (末尾の数字は後掲書の番号)

* 多くの人は、実用英語とは英語を「話すこと」だと考えている。しかしこれは大きな間違いだ。実際の場面で必要なのは「聞くこと」なのである。そして聞くことができれば、ほぼ自動的に話すことができる。だから実用英語の訓練は、実際に話されている英語を聞くことに集中すべきだ。 ...普通の仕事であれば「正式な英語を聞けること」が基本である。その訓練には英語の演説やニュース番組を聞けばよい。(3)
* 語学の学習には、丸暗記や真似が不可欠な時期があると思う。…また、バラエティーにとんだ英文を出来るだけ暗記しておくことはきわめて有益である。(9)
* 自然な英語の音にたくさん触れて慣れることも、たしかにだいじだが、大量の音声教材を理解できないまま聞き流したところで、役に立つ英語の表現はいつまでたっても身についてこないし、勉学に必要な達成感もえられない。…よく「噛みしめる」ようにして聞き取る工夫をするとよい。そのためには最初からあまりにも大量の教材をこなそうと考えないことだ。自分の語彙の範囲で十分に理解できて、しかも内容的に興味がもてるような音声教材を選ぶとよい。経験からいうと、だいたい七、八割聞きとれる教材をえらぶとよい。 (10)
* 「英語を書くという作業は、ある意味では「聞く、話す、読む、書く」という言語の4つの技能の中で最も難しいかもしれない。…自分の書いた英文を教養のあるネイティヴスピーカーにみせると、次のような問題点を指摘されることがある。○ 文章全体の論理が一貫していない ○ 文章に結論がない ○ どういう意味で使っているのかわからない言葉がある ○ 主述関係がよくわからない○ 代名詞がなにをさしているのかわからない ○ 冗長な言葉や無意味で無駄な表現がある。(10)
* 英語教育強化論の韓国の金大中大統領は「英語は、米国の母語でも、英国の母語でもない.それは世界語だ」と述べている。大統領は獄中につながれている時、英語の学習を始めた。48才になっていた。1993年、英国を訪れた時、小さなラジオをポッケットにしのばせ、時間があればそれを聴いてヒヤリングの練習をした。韓国の英字紙、コリア・ヘラルドを毎朝読む。毎晩ベッドに入る前に、10の英単語と例文を暗記してから就寝する。(6)
* 自分の世界を自分みずからの言葉で表現するためには、日常目に入るもの、耳にすることをできる限り、少なくとも単語のレベルで知っておかなくては駄目です。もし自分の言いたいことに必要な単語を知っていれば、文法や発音など少しぐらい間違っても、自分の思いや考えは、具体的な場面さえあれば、相手にほとんど通じます。(8)
* 会話においては、耳の問題、すなわち聴解力がある。しかし、聞き取りというものは、細かなテクニックはいくらもあるけれども、基本的には慣れるしかない。…話すことについては、英作文に力を入れることを奨めたい。(9)
* 私が英語学習において常々主張しているのも、素読、暗誦、文法, 読解を含めた型の訓練の必要性です。(1)
* 技の習得を支えるのが、徹底した型の訓練と、技へと昇華させるための反復練習で、それが学びの基本です。(1)
* 英語学習を整理すると、次の4つの段階に分けることが出来る。1.知識の蓄積 (単語、熟語、決まり文句、鍵となる英文など)← 丸暗記 2.分類・分析による体系化 (文法)← 論理性 3.訳出による母語再認識 ← 思考力 4.英作文による英語の再確認 ← 認識力 (9) 
* 私は、従来のそれなりに構築されてきた英語教育体系を破壊することなく、それに加えて音声面での実効性ある教育を強化し、それも日本人教師が行うことを提案する。私が提案する音声面の教育とは、英語のアルファベットは表音文字であるというごく当たり前の、それでいながら日本ではほとんど無視されてきた側面に光を当てるものである。アルファベット教育が正しく行われるなら、英語の音声面の能力は飛躍的に強化されると私は確信している。(2)
* 英会話の勉強は、聴く訓練に集中すればよい。それが自動的に話す能力を高めるので、話す訓練は特別必要ない。(3)

● 私の見解

 英語を勉強したいが、どのように勉強してよいか分からない。そういう成人が大勢いるので、書店には、個人の体験談から、雑誌の特集、英検やTOEICの受験参考書、それに研究書まで、英語学習法に関する本が溢れています。それらを読んでみて、あまりにも安易ではないかと思われるものが多すぎると感じまし。
このシリーズで引用している10冊の本は、むしろ例外に属するものだと思います。

 我々の学習法の基本的な方法論は、茅ヶ崎方式英語会のHPに15周年記念講演という形で載せてありますし、各段階の学習法は、7冊の教本に具体的に書いておきました。ブログには長文すぎるので、興味のある方はそれを読んでください。 ここでは、そういう学習法を思いついた端緒と帰結だけを書いてみたいと思います。

 私は中学3年の時軍事教練中に左耳を殴られて鼓膜が傷ついたため、右耳の半分くらいしか聴力がありません。NHKの国際局で英語ニュース班に配属され、初めにやらされた外国放送
のモニターがうまくいかず、なかなか聴き取れないのは、左右の聴力が不均衡なせいではないかと思い始めました。そうなると何時までここにいても一人前にはなれないから他の部署へ移
してもらおうと決意しかかったある夜、突然聴き取れるようになったのです。自分の努力不足を棚に上げ、古傷のせいにしようとした甘ったれ根性を恥じるとともに、安堵と喜びで、深夜、NHKの前に出ていた屋台のおでんやで独り酒を飲みました。眺めるともなくビルの谷間の夜空を見ていると月が建物の陰に隠れて、星が見え、北斗七星ではないかと思われる星座が瞬いていました。その時ふと、星が単語で、それを繋いだ星座が句や文ではないかという妄想にとらわれました。

 それから20年以上たって、自分達の英文記者としての体験を下敷きに、成人のための英語対話の学習法を構築できないかと考えた時に、その妄想がよみがえりました。あの時、英語を聴き取れるようになるまでなんであんなに時間がかかったのか。英語の音韻になれていないことも大きかったが、聴き取れるようになってから振り返ってみると、最大の原因は結局語彙の不足だったのです。 当然のことながら、知らない単語は聴き取れませ。一定の単語や語句を音声ともども頭に叩き込むことが、聴き取りの不可欠の条件であり、同時にそれが、他の3技能の基盤ともなるという至極当然な結論に達しました。数人の仲間にこの話をすると、同じ体験を持つベテラン記者の彼等の心にストンと落ちたようです。 それから、数人の同志による星の点検、つまり、英対話のための必要にして十分な単語や語句の選定が始まりました。そして出来上がったのが、「基本4000語」です。同時に、この4000語で、ニュースを素材とする教材は全てカバーできるだろうという見通しもつきました。

 したがって、「国際英語基本4000語」こそが、我々の学習法の基盤です。この4000語を(読んでわかり、聴きとることが出来、書いたり、話したりに使えるよう)使用語化することが、我々の学習法の A to Z です。この用語集が、30年を超える長い教材作成の旅路の出発点となりました。(M)

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1.日本語力と英語力 斉藤孝・斉藤兆史 中公新書 2.英語は日本人教師 上西俊雄 洋泉社 3.超英語学習法 野口悠起雄 講談社  4.英語の音読指導 土屋澄男 研究社
5.世界の英語を歩く 本名信行 集英社新書  6.あえて英語公用語論 船橋洋一 7.英語を子供に教えるな 市川力 中公新書  8.日本人は何故英語が出来ないのか 鈴木
孝行  岩波新書  9.誰がこの国の英語をダメにしたのか  澤井繁男  NHK出版 10.英語屋さんの虎の巻 浦出善文 集英社新書 (M)