Print This Post Print This Post

「“コミッショナー”とは何か?」を考えて…」
(1)「日本プロ野球機構が、プロ野球で使うボールをもっと飛ぶボールに変更していたことを選手には知らせていなかった」という問題が、社会問題化して大騒ぎになりました。野球に関心の無い人たちは、「たかがボールのことで、何を騒いでいるのか」と疑問に思うでしょうが、私はまず用語の問題から考えてみることにします。

(2)“コミッショナー”というカタカナ英語を使うのは止むを得ないとしても、ほとんどの英和辞典が、「commissioner:(プロ野球などの)コミッショナー」としているのは、反省すべきだと思います。これでは、用語の定義ではなくて、カタカナ英語に置き換えたに過ぎないからです。したがって、野球ファンでも、“コミッショナー”とは何をする人物なのか知らない人が多いのではないかと思います。これは英語教育の責任だと言えるでしょう。

(3)もう1つには、国語教育の責任も大きいと思います。例えば、“委員会”という用語を広辞苑で引いてみますと、まず「委員で構成される合議制の機関。またその会議。」とありますが、これでは大学生でも何のことかよく分からないでしょう。漢和辞典などを調べてやっと、“委員”の“委”という文字は、“ある仕事をする権利を任せる/ ゆだねる”という意味があることが分かります。何かをする権利を持てば、そこには責任も伴うことも知っておく必要があります。

(4)それでは、“コミッショナー”のほうはどうでしょうか。この語の意味を知るためには、”commit” という単語を知らなければなりません。学習用の英々辞典では、“何かの仕事を引き受けて、それを忠実に果たすこと”という趣旨の定義をしています。“コミッショナー”は“人”ですから、“ある仕事を引き受けて、それを忠実に果たす人物のこと”と考えられます。それでは、“プロ野球のコミッショナー”はどういう仕事をする人のことでしょうか。

(5)日本のプロ野球は、“セントラル・リーグ”と“パシフィック・リーグ”に分かれていますから、両リーグの間で何か意見の相違が生じた場合は、プロ野球の最高責任者として仲裁の役目をするのがコミッショナーであることになります。今回の問題で、加藤コミッショナーは、「私は何も知らなかった」と最初に言いましたが、問題が大きくなっても、「私は不祥事とは考えていない」などと発言しました。駐米日本大使として長年勤めた人らしいですが、野球のことばかりでなく、社会的な問題にもうとい人物だと私は思わざるを得ません。最終的には謝罪しましたが、自分が“裸の王様”であることを自覚しないで過して来た人なのでしょう。

(6)日本のマスコミ界には、この問題を深く追求しようとする空気があまり感じられません。陰に大物の読売新聞の親分がいるからだと噂されています。日本のマスコミはどこかの独裁国の新聞のようになっているのではないかと心配です。そう言えば、この親分は、読売巨人軍のことばかりでなく、政財界にも口を出す人物です。

(7)一方では、日本の首相は相変わらず“景気浮揚”のことばかり熱心で、原発の売り込みに夢中になっています。福島原発事故の教訓などどこ吹く風です。天災ではなくても、原発事故は人間のちょっとした不注意で起こりますし、原発を廃炉にするのも大変ですから、“人類を破滅に導いた指導者”として悪名を残すことになると思います。もっとも、人類が破滅すれば歴史も何も残らないわけですから、そんな心配は無用だと言うべきでしょうか。恐ろしい世の中です。(この回終り)