Print This Post Print This Post

英単語の綴りを覚えるときには強勢(強く発音する音節)にも注意しておく必要があります。綴りを覚えても強勢を間違えては、その語を話し言葉として使うことはできません。語の強勢は2音節以上から成る語では常に問題になります。英語という言語は、複数音節から成る発話では、どれかの音節に必ず強勢が置かれる言語だからです(1音節の語の強勢についてはいずれ取り上げます)。

たとえば「忠告」や「助言」を意味するadviceという語では、2番目の音節(-vice)に強勢があります。ついでながら、この語は最近しばしば日本語の中でも使われるようになっていますが、その場合には「ドバイス」のように「」のところに強勢を置かれ、5つの音節として発音されます。しかしこれはもはや英語ではなく、完全に日本語化してしまっています。英語の中に「ドバイス」という日本語化した語を使っても通じるとは思えません。

2音節語で品詞によって強勢の位置が変わるものがあります。筆者が中学生のときによく注意された語の一つが insult でした。この語は名詞として使われるときは第1音節に強勢が置かれますが、動詞のときには第2音節に強勢が移ります。たとえば、次の (1) の insult は名詞ですが、 (2) は動詞です。

(1) I can’t tolerate such an insult to me.  (2) He insults me by calling me a fool.

このような名詞と動詞で強勢の位置が変わる例は他にもいくつかあります。たとえばaddress*, concert, conduct, present, protest, suspectなど。これらは名詞のときは第1音節に強勢があり、動詞のときには強勢が第2音節に移動します。これらの語群ではそれがルールなのです(*ただしaddressは、イギリス発音では名詞のときも第2音節に強勢が置かれる)。筆者がそういうルールの存在に気づいたのはずっと後で、高等師範の学生のときでした。それらの語を脳の長期記憶スペースに送り込むには、上記のinsultにならって用例を辞書で見つけ(または自分で作り)、その用例が使われる場面を想像しながら声を出して言ってみるのがいちばんです。

なお、先ほど挙げたadviceですが、この語は名詞のときも動詞のときも第2音節に強勢が置かれます。ただし、動詞として使われる場合にはadviseと語形が変化します。こういう例外的なややこしい語は注意深く記憶する必要があります。意地の悪い試験問題作成者は好んでこのような語を取り上げます。そういう意地悪な問題に引っかからないように、次の例を注意深く覚えてください。

(1) I asked Mary for her advice.  (2) She advised me to go to the doctor’s.

では3音節以上の語についてはどうでしょうか。中学校の教科書に必ず出てくる語で3音節以上のものを(注)、強勢の位置によって分類してみます。それぞれの語の強勢に注意して発音してみてください。

・第1音節に強勢のあるもの:animal, anyone, anything, beautiful, dictionary, different, everyone, everything, family, February, holiday, interesting, January, library, popular, Saturday, usually, wonderful, yesterday.

・第2音節に強勢のあるもの:already, another, December, eleven, eleventh, important, Japan, November, October, remember, September, together, tomorrow, vacation.

・第3音節に強勢のあるもの:introduce, Japanese, seventeen, understand.

この小さな語彙リストからは、語強勢について規則が導き出せそうなものはあまり多くは見当たりませんが、いくつか気づくことがあります。まず月名のSeptember, October, November, Decemberの強勢の位置に規則性が認められます。それらは語の末尾から2番目の音節に強勢が置かれます。Rememberも語末が同じですから同種の語と考えられます。また、seventeenという語を知っている学習者は、thirteen, fourteen, fifteenなどの語も知っているでしょう。すると-teenで終わる語はすべて語末に強勢があるという規則に気づくはずです。まだ他にもあるかもしれません。

しかし語強勢についてさらに多くの規則を見つけ出すためには、もっと大きな語のリストが必要です。語強勢に関する規則は、初級レベルの学習段階よりも、中級または上級になって、多音節の語に頻繁に接して始めて気づくものが多いからです。それらは学習者個人の気づきに委ねられていて、学校の授業では取り上げられる機会が少ないかもしれませんので、次回にいくつか代表的な規則を取り上げます。(To be continued.)

(脚注)平成元年文部省告示により改訂された中学校学習指導要領では、中学校3年間に指導すべき語を1000語程度までとし、そのうち507語を必修語として別表に挙げていました。ここに挙げた語はそのリストの中にあるものです。現行の学習指導要領では、中学校で指導すべき語数は1200語程度となり、必修語の指定は削除されています。