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「“民意”とはどういうものか」という問題
(1)“民意”については、国語辞典では、「国民や人民の意思」ということになっていますが、政治家は立場によって都合のよいように使うようです。例えば、選挙で当選さえすれば、「私は民意を代表している」というように。今回の参議院選挙のように投票率が低いと、果たして住民の意向がどこまで実現したのか疑問に思われます。

(2)3年ほど前の総選挙で、民主党に政権交代をさせようとした多くの国民の判断は正しかったと思います。ただし、“圧勝”ではなく、かろうじて過半数を得る程度でしたら、民主党ももっと慎重に行動したことでしょう。その意味では、今の自民党の圧勝も同じように自信を与え過ぎてしまいました。自信過剰は必ず取り返しのつかない過ちになりがちであることを私は心配します。

(3)“民意”の1つの大きな問題点は、「自由にコントロールがきくものではない」ということです。独裁国家では、一部の権力者が国民の意思を自由にコントロールしますが、民主主義国家ではそれは許されません。したがって、為政者が常に反省しながら国民の意向を確かめる姿勢が要求されるのです。残念ながら、現在の安倍政権にはそういう姿勢が見られません。日銀の人事を初めとして、すべて安倍政権の言うことに従う人物ばかりを任命しています。

(4)安倍首相は10日間の夏休みを取って、ゴルフをしながら楽しんでいるようです。日頃は猛烈に多忙でしょうから、夏休みを取ることまでは反対しませんが、自宅にこもってゆっくり想を練るくらいのことをすべきです。東北では死者まで出るようなゲリラ豪雨の被害が出ています。野党は批判の声をあげましたが、首相の耳にはどこ吹く風でしょう。困ったものです。

(5)安倍政権は対中国外交では根回しはしているようですが、フィリッピン、インドネシア、マレーシアなど、周辺国と話し合って“中国包囲網”を形成しようとしています。これは極めて危険だと私は思います。第2次大戦前に、欧米は日本のアジア進出を嫌って、“ABCD 包囲陣”を形成しました。それは、日本軍部には、「日本の植民地化をねらって、欧米諸国は日本包囲網を作っている。これを突破しなければならない」と旧満州進出への口実を与えてしまいました。

(6)最近はアメリカにも、日本政府の右傾化を心配する論調が現れたりしています。オバマ政権も最終段階ですから、日本の同盟国としての位置づけを否定はしませんが、「余計なトラブルを起こしてくれるな」というのが本音だという説が有力です。どこの国も、自国の国益を優先させますから、安倍首相のような単純な発想では、纏るものもうまく纏らないでしょう。前途多難です。(この回終り)