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これまで「語彙の文法」について述べてきました。しかし語彙の文法を知っていれば文章が作れるわけではありません。語は他の語と密接に結びついてフレーズ(phrase句)を作り、一つのまとまりのある単位を形成します。そこで今回は「フレーズの文法」に移ります。

フレーズとは結局のところ、2つ以上の語が集まって形成する、1個の品詞に相当する語群のことです。しかしフレーズは主語と述語を欠いているので、センテンス(sentence文)とは違います。センテンスは通常いくつかのフレーズから成っています。具体的な例を挙げてみましょう。次のセンテンスの中のフレーズに注目してみてください。ここにはいくつのフレーズが含まれているでしょうか。

All the pupils in this class like playing soccer.(このクラスの生徒はみなサッカーをするのが好きです。)

易しい問題のようですが、答えは必ずしも簡単ではありません。少なくとも次の3通りの答えがあります。

(a)2個:all the pupils in this class / like playing soccerの2つ;①主語pupilsを中心とする名詞句と、 ②動詞likeを中心とする動詞句。

(b)2個:all the pupils in this class / playing soccerの2つ;①主語pupilsを中心とする名詞句と、②動詞likeの目的語の役目をする名詞句。

(c)3個:all the pupils / in this class / playing soccerの3つ;①主語pupilsを中心とする名詞句、②直前の名詞句を修飾する形容詞句、および③動詞likeの目的語となる名詞句。

これら3通りの答えはいずれも正解です。

では先に挙げた「2つ以上の語が集まって形成する、1個の品詞に相当する語群」という定義にしたがって、フレーズを分類してみましょう。その前に語の品詞をおさらいしましょう。それは次の10種類でした。

(1)名詞、(2)代名詞、(3)動詞、(4)助動詞、(5)形容詞、(6)副詞、(7)冠詞、(8)前置詞、(9)接続詞、(10)間投詞。

これに対してフレーズの品詞分類では次の8種類のフレーズが認められます。

(1)名詞句、(2)代名詞句、(3)動詞句、(4)形容詞句、(5)副詞句、(6)前置詞句、(7)接続詞句、(8)間投詞句

語の品詞分類と比べてみると、フレーズの分類表からは2つの項目が抜けていることが分かります。ここには助動詞と冠詞がありません。これらがフレーズから抜けた理由は次のようです。助動詞はたいてい動詞を伴って動詞句を作るので、それは動詞句の中に吸収されたのです。また冠詞というのは、英語ではa(an) とthe しかないので、フレーズを構成することはありません。

では品詞別フレーズの例を2つずつ挙げてみましょう。その機能が分かるように、最初にフレーズを、その後にそれを用いたセンテンスを提示します。

<名詞句> a clever girl(利口な女の子):Mary is a clever girl. ② something to eat(何か食べる物):Can I have something to eat?

<代名詞句> each other(お互い):The people helped each other. ② one ~ the other(片方~もう一方):I have two foreign friends. One is from China; the other from Indonesia.

<動詞句>① take care of(~に気をつける):Please take care of your health. ② should follow(~に従うべきだ):You should follow his advice.

<形容詞句>① nice and warm(暖かくて気持ちがよい):It’s nice and warm in this room. ② singing and dancing(歌い踊っている):At the festival we saw a lot of people singing and dancing on the street.

<副詞句>① at any moment(いつでも):An accident could happen at any moment. ② all of a sudden(とつぜん): All of a sudden he got angry and hit me on the face.

<前置詞句>(注1)① on Sundays(毎日曜日に):They go to church on Sundays. ② after school(放課後):We play soccer after school.

<接続詞句>(注2) ① A and B(AとB):The boys and girls were playing tennis. ② either A or B(AかBか):You can get there either by train or by bus.

<間投詞句>(注3) ① Good heavens!(おやまあ!):② Shame on you!(みっともない!)

(注1)ここでの前置詞句は「前置詞+名詞(句)または代名詞(句)」の形をしたフレーズを指します。それらの多くは形容詞句または副詞句の働きをします。なお前置詞の中にはそれ自体がフレーズの形をしたものもあります(たとえばin front of, in spite of など)。

(注2and, or, butなどの等位接続詞によって結合されたフレーズを指します。それらは機能的には名詞句、形容詞句、副詞句、動詞句となります。

(注3間投詞句の多くは慣用句で、そのまま単独で使います。母語話者は多くの間投詞や間投詞句を使いますが、外国語として英語を学ぶ私たちは、目や耳にすることはあっても、実際に使えるものは多くないのが普通です。