Print This Post Print This Post

前回に8種類のフレーズを挙げましたが、これらのうち英語学習者にとって重要なのは、名詞句、動詞句、形容詞句、副詞句の4つです。なぜなら、これらはセンテンスを構成するときに必要不可欠な要素だからです。何かを叙述するセンテンスはどうしても「主語」と「述語動詞」が必要です。たとえばDogs barked.(犬が吠えた)のように、最低でも2語は必要です。ある特定の一匹の黒い犬が吠えたのならばThe black dog barked.となります。ここには「特定のもの」であることを示すtheと、「黒い」という意味の形容詞が付いています。下線部の3語が主語部分の名詞句となります。犬がどんな風に吠えたかを述べようとすると副詞が必要です。たとえばThe black dog barked fiercely.(その黒い犬は猛烈に吠えた。)のように。下線部の2語が述語部分の動詞句となります。

前回に挙げた上記以外のフレーズついては、以下に述べる理由で、それらの名称を使わなくても済みそうです(ただし「前置詞句」の名称だけは残しておくと便利です)。

<代名詞句>英語には「人称代名詞」のほかに、「指示代名詞」、「不定代名詞」、「疑問代名詞」というのがあって、それらがフレーズを作って全体として名詞の働きをすることがあります。たとえば、each other, one another(お互い)、something like that(そのようなこと)、that one(あのもの、あれ)、what else(他に何か)など。しかしこれらは結局、センテンスの中では名詞句として機能しますので、「名詞句」の一部として扱うことで何の不都合もないと考えます。

<前置詞句>これは「前置詞+名詞(句)」の形をしたフレーズすべてを指します。センテンスの中では、形容詞句または副詞句として機能します。したがってこれらは、「形容詞句」および「副詞句」の中で扱うことができます。

<接続詞句>これはand, or, butなどの等位接続詞によって結ばれるフレーズのことですから、結ばれる語句の機能によって名詞句、動詞句、形容詞句、副詞句のどれかに分類できます。たとえばboys and girlsは名詞句、by train or by busは副詞句です。

<間投詞句>このフレーズの多くは慣用句で、個人の使用する間投詞句の数は非常に限定されています。したがって、これは文法の問題というよりも表現法の問題として扱うのがよいと思われます。

そこでまず名詞句(Noun Phrase)の構造について少し詳しく見てみましょう。それは大きく次の2つの型に分けられます。

名詞の前に冠詞や形容詞などが付く型e.g. a book, a big book, a very big book, the small book, this book, that book, these heavy books, etc.

名詞または①の名詞句の後に形容詞句が付く型: e.g. that big book on the desk(机の上のその大きな本), a book written by an unknown writer(無名の作家によって書かれた本), those three books lying on the floor(あの、床に置いてある3冊の本), etc.

いずれの場合も名詞が中心語になり、その前か後ろに修飾語句(形容詞、形容詞句など)が付きます。一般に冠詞や単純な形の形容詞の場合には①の型が使われ、2語以上の複雑な構造をもった形容詞句の場合には②の型になります(注)

さて日本人学習者にとって習得が非常に困難なのは上記②の場合です。つまり、形容詞的な修飾語句が名詞の後に置かれる場合です。この型の名詞句が日本人に難しい理由は、日本語には修飾語を後置する構造が欠けているからです。英語では名詞に付く修飾語を後ろに置くことによって、文をいくらでも長くすることが可能になります。それに対して日本語では、名詞の修飾語を常に前に置かなければならないので、修飾語をあまり長くすると文が理解しにくくなります。翻訳をするときには誰もがこのことを実感します。たとえば次のような英文はごく普通に見られるものです。

Do you see two young men waving to us in front of the porch of that green building?

しかしこれを日本語にすると、「あの緑色の建物のポーチの前で私たちに手を振っている二人の若い男が見えるでしょう?」のように、修飾語句が異常に長くて不自然な感じになります。そういうわけで、私たちは日本語で不慣れな英語の修飾構造(特に後置される場合)についてもっと研究する必要がありそうです。(To be continued.)

(注)1語の形容詞でも常に後置されるものがあります。たとえば -thingや-bodyで終わる語の場合です。Is there anything interesting in today’s paper?(今日の新聞に何か面白いことありますか。)/ We need somebody intelligent for this job.(この仕事に誰か頭のいい人が必要だ。)のようになります。