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副詞の使い方が上手にできることは、言葉を話すときにも書くときにも非常に重要なことです。その使い方で、言葉の感じが粗雑にもなり、優雅にもなるからです。しかし副詞は形容詞にくらべて、言語学習における重要度が認識されていないようです。たとえば最近の日本語でも、形容詞や他の副詞を強調する副詞として誰もが使うのは「ものすごく」で、テレビに出てくるタレントたちも「ものすごくおいしい」や「ものすごくきれい」を連発しています。何回も同じ言葉を聞かされると、この人たちの語彙はなんと貧弱なのだろうと嫌味を言いたくなります。しかし学校の国語の時間に副詞の使い方について学んだ憶えはほとんどありませんし、英語の授業でも、いろいろな種類の副詞の使い方を組織的に学んだり教えたりしたことはないように思います。副詞や副詞句は言語学習の盲点かもしれません。

そこで私たちは、ここで英語の副詞句の構造や使い方の問題を取り上げてみたいと思います。あるていど順序だてて述べるためには、やはり副詞句を何かの基準で分類する必要があります。どのように分類するかは重要な問題ですが、ここではまず形式面から分類し、続いて機能面から分類してみようと思います。そうすることによって、これまで副詞句などは些末なこととしてほとんど意識することのなかった学習者が、文を理解したり発表したりするときに、それをいくらか意識するようになるのではないかと思います。意識するようになれば、そこに変化が起こることが期待できます。

さて、副詞句を形式の面から「副詞的前置詞句」と「前置詞句以外の副詞句」に分けることができます。2語以上から成る副詞句の大部分はこれら2つの形のいずれかに分類できます(注)

<副詞的前置詞句>副詞句として用いられる前置詞句(「前置詞+名詞句」)は非常に多く、その数はほとんど無限に近いと言ってよいでしょう。ここで注目したいことは、同じ前置詞句が文字通りの意味に使われる場合と、比喩的な意味に使われる場合があることです。一つだけ例を挙げます。次の(a)ではin the openが文字通りの意味に、(b)では比喩的な意味に使われています。

(a) Children need to play out in the open.(子どもは戸外に出て遊ぶ必要がある。)[OALD]

(b) Government officials do not want these comments in the open.(政府官僚はこういうコメントを公にしたがらない。)[ditto同上]

<前置詞句以外の副詞句>この種類の副詞句の数もほとんど数えきれないほどで、中学・高校の教科書に出てくるものでも相当の数にのぼります。「時」に関係する副詞句だけでも、today, yesterday, tomorrowなどの副詞に続いて、生徒たちは次のような多くのフレーズを学びます。

next week [month, year](来週、来月、来年), last [week, month, year](先週、先月、去年), the next day(その翌日), the day after tomorrow(明後日), the day before yesterday(一昨日), one day(ある日), the other day(先日), every other day(一日おきに), all day(一日じゅう), day by day(日に日に), some day(いつの日か),  any day(いつの日でも), these days(最近は), one of these days(近いうちに), some time((未来の)いつか), any time(いつでも), all the time(その間じゅう、いつも), this time(こんどは), this period((学校の授業で)この時限に), long ago(ずっと前に), sooner or later(遅かれ早かれ), etc.

以上に挙げた副詞句の多くは、前置詞句も前置詞句以外のものも含めて、いわゆる「慣用句」(idiomatic phrases)になっています。英語の母語話者はその習得過程で、周りの人々がこれらのフレーズを日常的に使っているのを耳にしているうちに、自然に口を出てくるようになっているのでしょう。ですから外国語として英語を学んでいる私たちも、それらの慣用句をいろいろな機会に使ってみて、それぞれの使い方をマスターする必要があるわけです。次回には副詞句を意味と機能の面から分類してみることにします。(To be continued.)

(注)現代英語の文章に現れる慣用的な副詞句を多数集めて、「前置詞を含む副詞句」と「前置詞を含まない副詞句」とに分類した下記の辞典があります。取り上げたすべての項目に例文がついていて参考になります。しかしこれだけ大部な辞典でも、実際に使用される副詞句を網羅しているわけではありません。

多田孝蔵著『英語副詞句活用辞典』(大修館書店1977)