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< 経済大国から人権大国へ >

< 人権大国への道 終章 : 前説 >
  
 私は来月で85歳になる。桐英会ブログには3年間に、200回ほど投稿を重ねてきたが、もはや耳も遠くなり、目もかすんできたので、そろそろ結末をつけなければならない。これまでは、過去と現在の日本の社会について、人権状況を中心に、私の体験や認識を述べてきたので、最後は未来についての私の展望を語りたい。いわば、戦争体験者のひとりとしての21世紀に生きる人達への遺言状である。

 戦後70年間平和に生きてきたこの国は、今、大きな曲がり角にさしかかっている。曲がり角の先にあるのは、戦争かもしれない。自分の体験から、実例を挙げて書いてきたように戦争とは人権の墓場だと思うのだが、“みんなで曲がれば怖くない”とばかりに、曲がれ、曲がれと大声でけしかけている人達がいる。集団的自衛権の発動とは、まごうかたなき他国との戦争である。戦後最も多くの戦争に加担してきたアメリカと一緒にやるというのだから、恐るべき方向転換であり、このような動きは断固阻止しなければならない。

 それでは、このような動きを阻止して、これまで通りの道を進めばよいのかと言えば、それは多分不可能であるし、今でも脅かされている人権状況は、ますます悪化するだろう。それで私は、早くベクトルをかえて新しいパラダイムを目指そうと主張してきた。このため、<第一部 日本における人権状況 >では、この国の人権状況を4つの自由に即して点検し、このような人権状況を改善するために、自らの人権を守り、外国人を含めて他者の人権を尊重する覚悟を持とうと訴えてきた。さらに、<第二部 所与の条件>では、ベクトルをかえ新しいバラダイムヲ目指す時に、考慮に入れなければならない与件をかなり詳しく説明した。

 これから展開する第三部 < 人権大国への道 終章 >では、第一部、第二部を踏まえ、次のような順序で、この国の未来につて私見を述べたい。* 論拠になるデータについては付表によって第一部、第二部の該当のアーカイブを参照されたい。

1. 競争原理から創造原理へ・・・新自由主義からの脱却
2. 自由と公正に基づく共生社会の建設・・・日本株式会社からの脱却
3. 私の安全保障論・・・自衛隊の国連軍化
4. 50年後の人権大国日本を想う

 私がこの国の未来を考えるにあたって最も参考になったのは、大平正芳元首相の「田園都市国家の構想」と石橋湛山元首相の「小日本主義」であった。

 大平元首相は、「田園都市国家の構想」について、都市の持つ高い生産性、良質な情報と、民族の苗代ともいうべき田園の持つ豊かな自然、潤いのある人間関係とを結合させ、健康でゆとりのある田園都市づくりである」と述べている。さらに、この構想では、否定されるべき国家建設の手法として「工業文明、近代合理主義と西欧的アプローチ、トップ・ダウン、縦割り行政」などを挙げ、採用されるべき手法として「脱工業文明、ボトム・アップ、共存の論理、自発的な創意工夫」などを挙げている。

 また、「小日本主義」は、石橋湛山が太平洋戦争中、東洋経済新報の主筆として、拡張主義の「大東亜共栄圏」に反対するテーゼとして主張したもので、日本は、満州・朝鮮を放棄し、産業主義、自由主義、個人主義を3本を柱として、本来の国土の中で繁栄を求めるとともに、安全保障の根幹として「日米中ソ同盟」の締結を主張した。戦後は、国連を平和を目指す国際システムとして、日本国憲法第9条戦争の放棄を、敗戦国からの脱却の梃子として高く評価していた。

私は志し半ばで世を去ったこれら二人の先人の英知に学び、ある部分については反面教師として、日本の未来像を語りたい。

 アメリカの国際政治学者で大統領の安全保障問題補佐官を務めたズビグニュー・ブレジンスキーは、日本の将来につて、”米中の谷間に咲くひ弱な花“になる可能性を指摘したが、安倍政権の対米依存の強化、中国に対する敵視政策をみていると、予言がかなり現実味を帯びてきたように思える。私は、50年後の日本が、小さくても凛として咲く花であってほしいと願っている。(M)

(付表)
    < 経済大国から人権大国へ > 

第Ⅰ部   日本の人権状況 

1. 人権を担う勇気 ・・・・・・・・・・・・・・・<2013−10−19>
2. 日本人の人権意識 ・・・・・・・・・・・・・・<2013−10−26>
3. 人権は守られているか 
① 言論の自由 ・・・・・・・・・・・・・・・・<2013−11−2>
② 信教の自由と政教分離 ・・・・・・・・・・・<2013−11−9>
③ 欠乏からの自由 ・・・・・・・・・・・・・・<2013−11−15>
④ 恐怖からに自由 ・・・・・・・・・・・・・・<2013−11−23>

第2部   人権大国への所与の条件 

1.総論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<2014−1−11>
2.所与の条件
① 激減する日本の人口と世界の人口爆発 ・・・・<2014−1−25>
② 地球資源の枯渇と日本 ・・・・・・・・・・・<2014−2−8>
③ 国土と隣国 
1.国土の特徴 ・・・・・・・・・・・・・・<2014−2−22>
2.隣国—1 韓国・北朝鮮 ・・・・・・・・<2014−3−1>
  隣国—2 韓国 ・・・・・・・・・・・・<2014−3−8>
       北朝鮮については 北の核参照・<2013−3−9~4−20> 
  隣国—3 中国—1 戦前、戦中の日中関係 (戦争の半世紀)<2014−3−22>
       中国—2 戦後の日中関係 (河野文書と村山文書)<2014−3−29>
       中国—3 現在の日中関係 (尖閣)・靖国)    <2014−4−5>
           中国—4 現在の日中間系 (強制連行等)    <2014−4−26>           中国—5 台湾                 <2014−5−10>
隣国—4 ロシア—1 ロシアへの不信感          <2014−5−31>  
     ロシアー2 北方領土問題            <2014−6−7>

第3部 私説:人権大国への道 終章 

1. 前説
2. 競争原理から創造原理へ — 脱新自由主義
3. 自由と公正に基づく共生社会の創造 — 脱日本株式会社
4. 私の安全保障論 − 自衛隊の国連軍化
5. 50年後の日本を想う
                      ( end )