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これまで名詞句、形容詞句、副詞句などのフレーズの構造とその用法を見てきました。しかし少し複雑な内容を表わそうとすると、フレーズより大きな「クローズ」(clause節)という単位を考える必要が生じます。フレーズとは、その中に主語と述語動詞を含む語群のことです。たとえば「彼は1945年に生まれた」は “He was born in 1945.” ですが、これは主語と述語動詞を備えたクローズで、それだけで独立したセンテンス(sentence文)にもなります。では、このセンテンスに「その年に戦争が終わった」または「それは戦争が終わった年だった」という意味の情報を付け足すとどうなるでしょうか。

<比較的に単純な構造>その方法のひとつは、これら2つの情報を別のセンテンスとして並べることです。実際の話し言葉では、このような単純な方法で表現するのが普通です。次の(a)と(b)がそれです。

(a) He was born in 1945. The war ended in the year.

(b) He was born in 1945. That was the year (when) the war ended. [括弧内の語は省略可](注)

これらはそれぞれ2つの独立したクローズを単に並べたものです。(a)は「彼は1945年に生まれた」という意味のクローズと、「戦争はその年に終わった」という意味のクローズがそれぞれ独立したセンテンスとして並んでいます。(b)は「彼は1945年に生まれた」と「それは戦争が終わった年だった」という2つのクローズが独立したセンテンスとして並んでいます。しかし(b)の第2のセンテンスに注目してください。その中にさらにもう1つの小さなクローズが埋め込まれています。when the war endedがそれです。これはその直前のthe yearを修飾する形容詞節です。関係副詞whenのあとに「主語+述語動詞」という明確なクローズの形態が認められます。このように小さなクローズがより大きなクローズに埋め込まれることによって、センテンスの構造はしだいに複雑になっていきます。

<より複雑な構造>こんどは2つのセンテンスを並べるのではなく、それらを1つに結び合わせてみましょう。いくつかの結合法が考えられますが、代表的なものを3つだけ挙げます。

(c) He was born in 1945, when the war ended.

(d) He was born in 1945, and that was the year (when) the war ended.

(e) He was born in 1945, that is, in the year (when) the war ended.

これら3つのセンテンスを分析してみます。

(c)の文:前半が主要なクローズ(主節)で、後半のwhen the war endedが従属的なクローズ(従節)です。この場合のwhenは関係副詞でand thenのような意味を表わします。when the war endedは形式的には副詞節ですが、意味的にはandで結ばれた等位節のようです。

(d)の文:andは等位接続詞と呼ばれ、2つのクローズを対等に結びます。後半のクローズの中に、(b)のときと同じ「名詞句+when に導かれる形容詞節」(the year + when the war ended)が使われています。

(e)の文:that isは「すなわち」という意味の慣用句で、前に述べたことを言い換えたり、言い直したりするときに使います。すると後半のin the year (when) the war endedは全体としては「前置詞+名詞句」の形の副詞句で、その名詞句の一部に(when) the war endedという形容詞節が含まれていることになります。

以上に挙げた(a)~(e)はすべて内容的にはほとんど同じですが、だからと言って、どれも全く同じというわけではありません。表現の仕方が違えば少し感じが違ってきます。たとえば(c)のwhen以下のクローズは、主節の情報に比べてやや付けたしの情報という感じがします。(d)はandで続けられているので、前半と後半を同等の価値をもつ情報として伝えようとしている感じです。そして最後の(e)はやや改まった感じの言い換えになっています。話し手は可能な表現の中から、おそらく無意識的に、その時点でいちばん自分の気持ちに合っていると思う表現を選びます。意識していないのですから、なぜその表現を使ったのかは本人にも説明できないかもしれません。しかし多様な表現ができるということは、その言語に精通している人のいわば特権のようなもので、母語話者はすべてそういう知識や能力を使って言語を駆使しています。英語を外国語として学ぶ私たちも、英語の多様な表現法を知ることは、その言語の使い手の意図を正しく理解するためにも必須のことです。そういうわけで、初歩的な日常会話ではクローズなどというものを使う必要はないかもしれませんが、英語学習が中級程度に達した人にとっては、これは重要な学習項目になります。(To be continued.)

<注>the year when the war endedのwhen(関係副詞)が省略されることがあるのは、the year (month, week, day, time, etc.) when~ という言い方が頻繁に使われるので、whenを省略しても意味が充分に伝わるからだと考えられます。書き言葉ではこのwhenを入れて書く人が多いようですが、早口の話し言葉ではほとんど省略されます。同様のことが他の関係副詞についても言えます。たとえば次のようです。

・I know a good place (where) you can get butterflies.(蝶が取れるいい場所を知っているよ。)

・Tell me the reason (why) you got so mad at me yesterday.(昨日あんなに僕に腹を立てた理由を話してくれたまえ。)

・The way (how) you talked to me made me mad.(僕に対する君の話し方が気に食わなかったのさ。)