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< 原発の脆弱性と放射能の危険性の再認識>

(その1)
①  地震、津波、火山噴火など自然災害には想定外のリスクがともなう

* 日本の国土は、ユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピンプレートが接する境界線上にあって、地震、津波、火山噴火のリスクが大きい。
* 静岡県の駿河湾から九州の東側にかけての太平洋沖の海底を走る海溝(トラフ)を南海トラフと呼ぶ。南海トラフ沿いでは、100~150年ごとに、東海地震、東南海地震、南海地震といった大地震が起きている。時にはこの三つの地震がほぼ同時に起きたこともある。予測される地震の規模は、最大M9.1で、震度7の地域は静岡から宮崎まで10県に及び、最大の津波の高さは、34.4メートル(高知県黒潮町」。また、東京湾北部を震源とするM7.3の首都直下地震でも震度は7に達する。さらに、房総沖ではこれまで知れれていなかった2つの活断層が発見されている。原発銀座といわれる福井県の若狭湾沿岸には、多数の活断層がある。7基の原子炉を有する世界最大の柏崎刈羽原発では中越地震で微量の放射能漏れを起こした。原発沖の日本海の活断層を8キロメートルと計測していたものが実際には23キロメートルあり、震度の予測を誤った。
* 首都圏直下型地震は30年以内に起きる確率が70%。
* 活断層の研究は、原発の立地が進んだ1970~80年代より進歩しているから、その時の基準ではなく、今の研究成果を踏まえて再評価すべきである。
* 地震を起こす活断層は、中部、近畿を中心に約2000ある。活断層によるM7以上の最近の大地震。 北丹後(1927)鳥取(1943)福井(1948)阪神淡路(1995)
* 九州電力川内原電の周辺では火山の巨大噴火が繰り返されてきた。巨大噴火の跡が周辺にあるの北海道電力泊、東北電力東通、電源開発大間(建設中)で、火砕流、噴火の降灰による被害が予想される。
* 中部電力浜岡原発は南海トラフ巨大地震の想定震源域の真上にある。福一級の事故があれば、放射性物質は首都圏や名古屋まで拡散する。

②  人為的災害、つまり戦争におけるミサイル攻撃やテロ攻撃に対してはほとんど無防備である。

  * 特定秘密保護法では、原発の警備状況は保護の対象。
  * 日本が保有しているプルトニウムは原発数千発分。六ヶ所再処理工場の処理能力は年
   間800トンで、8トンのプルトニウムを生産できる。稼働の見通しが立たず再処理はイギリス、フランスに委託しているが、これを日本へ運ぶ際にテロ集団に狙われる恐れがある
 * 規制委員会の田中委員長は「原発のテロ対策は真剣みを欠いていた」と語っていた。
 * 北朝鮮は、日本を射程距離内とするノドン、テポドン等のミサイルを数百発保有している。集
 団的自衛権の発動で、自衛隊がアメリカへ向かう北朝鮮の長距離弾道弾を迎撃すれば、これらの短・中距離ミサイルが日本へ飛んでくるだろう。

③  放射能の危険性が十分に認識されていない

* 福一周辺の動植物の生態系への影響は未調査。
* 福島沖では未だに、セシウム137で汚染された魚がたまに水揚げされるので、水揚げ量は事故の前の1%。漁業者の負担は計り知れない。
* 政府の基準では年間の放射能個人被曝限度は20ミリシーベルトとなっているが、住民の多くは1ミリシーベルトを望んでいる。チェルノブイリでは5ミリシーベルト。ICRP (国際放射線防護委員会) の基準では1ミリシーベルト。低線量被曝については、研究者補間で意見が分かれている。
* ICRPのジャック・ロジャール副委員長は、来日時「事故が進行中には被曝を減らす対策の目安を年間20~100シーベルト、事故後の復旧期被曝が長く続くような場合は、年間1~20ミリシーベルトという目安は、安全と危険の境界線というわけではない」と述べている。
* タンクから漏れた汚染水にはストロンチウムなどの放射性物質が、原発外放出基準の800万  倍の1リットル当たり2億4千万ベクレルも含まれている。
* 日本の原発は集中立地型で、一か所にいくつもの原子炉があるから、一基でも制御不能になり要員が急遽退去すれば、他の原子炉も連鎖的に制御不能、メルトダウンに陥る危険性が高い。

④  核のゴミはどんどん増えているのに処理に見通しが立たない

* 高レベル放射性廃棄物の地下処分はフィンランドとスウェーデンなどで計画されているが、日本のような地震、噴火、隆起と沈降など地質学的な動きが活発な「変動帯」では例がない。長期の変動を予測することは困難だという。
* 現在日本にある50基の原発のうち、12基は運転開始から35年を超え、そのうち5基は40年を超えている。規定どおり廃炉にすると大量の核のゴミがでる。
* すべての都道府県が、原発で作られた電力の消費量に応じて核廃棄物を受け入れる覚悟はあるのか。
* 福島県の面積の71%を占める森林の除染は不可能だ。樹木の材中のセシウムの濃度は根からの吸収によって徐々に上昇し15年後に最大となる。
* 原発内の使用済み核燃料の保存場所は、東海第2の3年分から泊の16年分まであり、平均して8年後には満杯となる。
* プルトニウムをMOX燃料に加工して原子炉で燃やすプルサーマル計画は、高速増殖炉「もんじゅ」の事故で目途が立たない。「もんじゅ」は原型炉で、このあと実証炉を開発しなければならない。商業炉の建設はそのあとだから、何時のことかわからない。
* 廃棄物を再利用するための高速増殖炉については、他の先進国では、中止、断念している。
* 建設中の東北電力大間原発は、MOX燃料だけを使う「フルMOX」という世界で初めての原発で、安全性が確認されていない。
* 日本学術会議は「この地震列島では、高レベル放射性廃棄物を地中に埋めるという現行案はとても安全とは言えない」として撤回を提案している。
* 除染で出た汚染土を30年間保管する中間貯蔵所さえ引き受け手がない。いかに「金目」で誘っても最終保管施設を引き受けるところがあるとは思いない。
  
⑤  福島事故の究明と対策が極めて不十分。なぜ安全と言えるのか。

* 東電の事故調査報告書は、責任転嫁が多く、反省が見られない。
* 水素爆発で破損した建屋内にある使用済み核燃料棒の保管体制が極めて不完全である。
  * 福島原発の溶融核燃料の取出し、老朽原発の廃炉の技術が確立されていない。
  * 原発事故の処理費用は、財政負担となって未来世代を苦しめる。
* 一旦放射能で汚染されれば、完全な除染は不可能である。現在行われている除染は、単なる移染にすぎない。数万年もの半減期を持つ放射能が今後、いつ、どこで漏れ出すかわからない。
  * 福島での国の除染計画は実効性の面からも財政面でも完全に破たんしている。
  * 汚染水は out of control。汚染水を凍土壁で囲む工事が始まったが、これほど大規模な凍土壁の工事は前例がなく、成功するかどうかわからない。失敗すれば膨大な赤字を出すことになる。
   並行して行われているトレンチからの海への流出を防ぐ凍土壁の工事は、2か月たっても凍結せず、規制委員会が効果を疑問視している。汚染水タンクはすでに1100基、高濃度汚染水は40万トンを超えているが、なお毎日400トンの地下水が原子炉建屋内に流入している。
  * 汚染水の浄化装置ALPSは故障続き、3系統が満足に稼働した期間はわずかで、いまだに安定して使えるめどが立っていない。
* 土壌の除去による放射能の低減効果は、50%に満たないという実証実験がある。
* 福一にある6基の原子炉から核燃料を取り出す作業が始まっているが、規制委員会の田中委員長は「潜在的に非常に大きなリスクを持っている」と話している。
* 東電の原発技術に疑問がもたれている。福一の事故で、アメリカがメルトダウンの可能性を指摘しているのに、東電は否定し続けた。
* 福一4号機の使用済み核燃料保存プールに水が残っていたのはまったくの偶然だった。
*「東電の虜」といわれた癒着体制の原発検査は改善の見込みはあるのか。
* 福一4号機からは、今も毎時1千万ベクレルの放射性物質が放出されている。
* 福一3号機では、事故発生四日後にはドライベントの準備が進められていた。建屋の水素爆発
  で偶発的に原子炉内の圧力が下がり、実施されなかった。
* これから40年以上も続く福一の廃炉作業。人口減小にともなう炉労働人口の激減の中で
作業員は確保できるのか。彼らの健康は本当に守られるのか。すでに、放射能検量計を鉛の板で覆うなどの、非人道的なごまかしが暴露されている。
* 現在の原発はfail-safeにはなっていない。緊急時には人間が対応せざるを得ない。福一事故では、所員の90%が所長命令に反して福二へ避難した。
* 過酷事故の際、運転員を現場にとどまらせる法律はないから、運転司令室が空になることもありうる。そのような法律を作ることは、現行憲法の下では許されないだろう。結局全員が退避して、原子炉が爆発する事態を想定しなければならない。
 * 次回へ続く (M)