Print This Post Print This Post

今回は動詞makeを中心とする表現を見ていきたいと思います。筆者の英語学習経験では、動詞の中でも特にhave, make, take, give, getがいつも曲者でした。どこまで行っても新しい意味や用法に出合って、「あれ!こんな意味にもなる」、「こんな使い方もある」と際限なく続いたように思います。現在でもこれらの動詞を完全に使いこなせる自信はありません。それは悲しいことではありますが、同時に楽しいことでもあります。悲しいというのは自分の学習能力の乏しさを実感するからですが、楽しいのは言葉の偉大さや深さを実感できることです。何歳になっても、いつも新しい発見があるということは幸せなことです。そう言えば、自分の母語である日本語だってどれだけ知っているか、知らないことだらけのような気がします。

さてmakeですが、これもhaveと同じくらい複雑な意味を表わし、複雑な構文を作る動詞です。多くの辞書はこの語を10項目以上の意味に分類しています。OALDはこの動詞を19項目に分けて説明しています。英語のテキストを読んでいてその意味を確定する場合には、19項目というのはたいして気になりません。辞書の分類は細かいほど、テキストで使われている意味を確定するのに役立ちます。しかし自分がmakeを使う段になると、あまり細かな分類は役には立ちません。なぜなら、自分が使うときにそのつど辞書で確かめて使うかどうかを判断するなどという手間は非現実的だからです。そのやり方では一つのセンテンスを作るのに時間がかかり過ぎて、頭の中に在る肝心のアイディアが逃げてしまいます。makeを使うときには、その語義のエッセンスが予め把握されていなければなりません。そこで数種類の辞書を並べてmakeの項目を比較してみました。すると、LDCEの分類法が筆者の要求にいちばん応えてくれていることが分かりました。これから述べるmakeの語義・用法の分類はそれを参考にしたものです。

(1)(何かをすることによって新しい形のものを)生み出す、作り出す:多くの日本人学習者はmakeを「作る」と覚えます。筆者の手許にある中学校用英語教科書では ‘make sushi’ が最初に出てくるmake の使用例です。それはそれでよいのですが、やがて学習者はmake がそれだけの意味ではないことを知ります。この動詞はいろいろなコンテクストで使われるようになって、次第にその意味範囲を広げていきます。「作る」というのは「物を作る」(e.g. to make a table / dress / cake)から始まって「ある状態を引き起こす」や「物や人を~の状態にする」という意味に発展します。さらには「人が(何かの行動を)する」から「人に何かをさせる」という使役の意味が生じます。いくつかの例文を見てみましょう(出典の記載のないものはLDCEの例文です)。

<例文>She made a cake.(彼女はケーキを作った。)/ Did you make this dress or buy it?(この服は自分で作ったの、それとも買ったの。)/ The children are making a lot of noise.(子どもたちはやかましい音を立てている。)/ He’s always making trouble.(彼はいつもトラブルを起こしている。)/ Parliament makes laws.(議会とは法律を作るところだ。)/ He made a shelter from some branches and leaves.(彼は木の枝と葉で避難場所を作った。)/ I’m going to make a shirt out of this material.(この素材でシャツを作ろう。)/ Will you make me a cup of coffee?(コーヒーを一杯入れていただけますか。)

(2)(何かの行為を)する: “We decided.” と言えるところを “We made a decision.” のように言うことがあります。日本語でも「決めた。」と言うところを「決定をした。」とも言います。それに似ているかもしれません。つまり動詞1個で済むところを動詞と名詞に分けて表現するわけです。こういう例はかなりありますが、無制限にあるわけではありません。「宿題をする」はdo one’s homeworkで、makeは使えません(注1)。さしあたり次の例文を覚えて使ってください。

<例文>We made an important discovery. (=We discovered something important.)(われわれは重要な発見をした。)/ I think you’ve made a mistake here.(きみはここで間違いをしましたね。)/ She made an offer of £10 for it.(彼女はそれに10ポンド提供した。)/ The president is determined not to make any concessions to the terrorists.(大統領はテロリストにはいかなる譲歩もしないと決意している。)/ ほかにto make an effort, to make a requestなど(注2)。  —To be continued.

(注1)日本語の「~をする」を英語にするときに、私たちはdoを使いたくなります。たしかに「宿題をする」はdo one’s homeworkですが、「決定をする」は *do a decisionではなくmake a decisionです。ではdoとmakeはどのように使い分けたらよいのでしょうか。この点に関してLDCEのコラム(USAGE)は次のように解説しています。

「doとmakeはdo a favour [=favor], make warのような多くの固定した表現で用いられます。この場合、どちらの動詞を使うかに関する規則はありません。しかし一般的に言って、doは単に「行為をする」ことであり、makeは「以前に存在しなかった物や状態を新たに作る」ことです。たとえばto do the shopping / the ironing / your exercisesの場合はdoですが、to make a fire / a noiseの場合はmakeです。また “What are you doing?” に対しては “Cooking.” と答えられますが、 “What are you making?” に対しては “A cake.” のように答えます。」

(注2)さらに多くの「make+(a)+名詞」の固定表現(慣用句)を収集したい方は、小西友七編『英語基本動詞辞典』(研究社1980)p.910を参照してください。