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 玄関で靴を履こうとしています。ちょっとストップ。あなたはどちらの足から先に靴に入れようとしていますか。思い出してください。昨日靴を履くときも、おなじ足から靴に入れていませんでしたか。今度は家から駅まで歩くとします。いつも同じルートを通っていませんか。これを「独りでに決まった習慣」、つまり「マンネリ」と呼びます。アメリカの辞典にはこう書いてあります。”a habitual or characteristic manner, mode, or way of doing something;  distinctive quality or style, as in behavior or speech” 訳? いいえ、英語を見るといつも日本語に置き換えて理解しようとする態度・・・これもマンネリのひとつです。ついでに、日本語の参考書で「マンネリ」を調べてみましょうか。「マンネリズムは、文学、芸術、演技などの表現が型にはまっていること。癖、礼儀作法、行儀と同じ語源。現在では否定的意味合いにとられ『飽きてきた』『新鮮みに欠ける』『単調でつまらない』などを示すことが多い」。ジェイムズ・ヒルトン(James Hilton)の小説「チップス先生、さようなら」(Goodbye, Mr. Chips)でも、教師が毎回同じことを同じように教えるーー特に年をとったベテラン教師にこれが多いーーのを”a dreadful pitfall of mannerism”(マンネリという恐ろしい陥穽)と書いています。人間は、本人が気がつかないうちに、同じ条件や環境下では「同じように考え、同じように行動する」ものです。

 写真をご覧ください。ホットケーキを焼いています。ホットケーキは大きなスプーンで鉄板に落とされ、当然円形となります。ホットケーキは丸い形をしているものであり、何の不思議もありません。このホットケーキを焼いている人物は、この写真が撮影されたあと、丸いホットケーキを何とかして四角にしようと試みました。あまりうまくいきませんでしたが、何とか「四角っぽい」ホットケーキが焼き上がり、周囲の人たちがあきれる中で、本人は満足そうに食べました。決まっていることを決まったように行うとき、人間は頭を使いません。靴を履くのも駅まで歩くのも、日常的な行動ですからほとんど無意識で行います。ルーテイーン(routine)として決まっていることに、ちょっとだけ変化をつけるとき、人間の脳に弱い電流が流れます。つまりマンネリを破ることは、脳の活性化につながるのです。もちろん老化防止にも役立つ筈です。たとえば、私は味噌汁を作るのが得意だと自分で信じていますが、毎回味噌汁を作るたびに「変化」を工夫します。味噌汁には味噌を入れますが、それに醤油を加えてみたり、砂糖、蜂蜜、日本酒、ワインと、工夫そのものを楽しみます。ときにはひどい味になりますが、もともと自分の作品です。まずくても、ちょっとだけ満足感があります。私の工夫の実験台になりたい方の申し出は24時間受け付けています。あなたもぜひどうぞ。それと・・・それとマンネリを時々ストップさせてみることをお忘れなく。