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「スポーツ番組」(3回目)
「スポーツ放送と用語」
(1)最近は料理とか服装に関する用語は非常に多くて、流行も速く、どういう意味なのかを知るだけでも大変です。中高の家庭科の先生たちは、どういう指導をされているのでしょうか。人ごとながら心配になります。そこへいくと、スポーツの用語はまだましですが、簡単ではありません。英語、米語、和製英語、英語以外の外来語、略語など様々です。“アメフト”は “American football” のことだと知っている人は多いでしょうが、普通のアメリカ人は ”football” としか言いません。日本人が「相撲」のことを話すのに、いちいち“日本式相撲”と言わないのと同じです。

(2)TBS 系のラジオでは、野球中継を試合終了まで放送してくれるのは、野球ファンには有難いですが、その番組を「エクサイト・ベースボール」と呼んでいます。これでは高校生や大学生は “excited” も “exciting” も区別がつかなくなります。もっとも、学校では、”Baseball is interesting.” も “I’m interested in baseball.” も「野球は面白い」と訳したままでいる英語教員がいますから、放送局ばかりを責めるわけにはいきません。

(3)「英語教育」2006 年7 月号(大修館書店)は、「スポーツと英語」を特集していて、バスケットボール、野球、テニス、ボクシング、プロレス、イギリス独特の学生スポーツなどの記事が掲載されています。その他、「シャーロックホームズとスポーツ」「語源から見るスポーツ——イギリス発祥の競技を中心に」とか「カーリングは英語もユニーク」といった興味ある記事もあり、最後にはクイズまでついた多彩な特集です。

(4)(その10)で、英語の “to play cricket” が「公明正大である」を意味すると述べましたが、この特集では、佐藤尚孝「メジャーリーグを英語からのぞく」という記事に、「米国の国技(national pastime)であるベースボールに関する不正(行為)には驚かされます」とあって、野球界の過去のスキャンダルを紹介しています。米国は自由競争の国です。ですから、競争に勝つためには、あらゆる手段を考え、実行するのでしょう。そして、行き過ぎを反省する自浄作用を持ちながら、社会が育ってきたわけです。(浅野補注:『ジーニアス英和』には、Singing karaoke has become a national pastime in Japan.(カラオケで歌うことは日本における国民的娯楽となっている)という例文があります。)

(5)そこへいくと、日本人はお互いに「お人好し」を前提に過してきましたから、国際的な競争や交渉が下手なのだと思います。ワールドカップの開催国を決める協会の役員たちが賄賂を要求したというニュースでも、上の記事を読んでいればそう驚かなくてもすみます。また、投手の牽制球に刺された走者には、”Counting your money?”(金勘定でもしていたのか)と野次を飛ばす話が紹介されています。 自浄作用の上に、ユーモアを潤滑油として社会が動いている感じです。日本の民主主義はまだまだ未熟と思わざるを得ません。(この回終り)