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「テレビ番組」から学ぶこと
(1)ここで、「学ぶ」というのは、受験生が受験講座を視聴したり、外国語を学びたい人たちが、語学番組を視聴したりする場合ではなく、日常の番組から何をいかに学ぶべきかを考えてみようというものです。したがって、いつものように、東京地区で視聴できる番組を例にしますが、「テレビ番組」の利用方法を考えて頂ければ幸いです。

(2)若い人たちが「地理」を知らないことがよく話題になります。昔の学校では「地理・歴史」などは「暗記科目」とされて、とにかく「覚えること」を強制されました。その時は辛くても、後で結構役に立つ知識だと思うことがありました。日本では、20年ほど前に、「暗記はもう古い指導法だ」といった妙な風潮があって、生徒は一層知識不足になりました。そこで、まずどの放送局でもある「天気予報」で、地理を学ぶことを始めたらどうでしょうか。もちろん、天候を知る目的で天気予報は見るでしょうが、地理を学ぶにも役立つ番組です。

(3)いつかある局の調査で、日本の白地図を示して、「新潟県はどこでしょう?」と高校生に質問していました。誤答の多くは鳥取や島根あたりでした。中には、福島や千葉のあたりを指す人もいました。それより以前、新潟県は地震の災害もあって、ニュースでも度々話題になったのに、この程度の認知度です。知らない地名を耳や目にしたら、地図を開いて調べるように指導したいものです。

(4)流行語などはむしろ若い人ほどよく知っているでしょうが、電子辞書を持つ人が多いようですから、知らない用語に出会ったら、調べてみる癖を付けさせたいと思います。一時、政治家がよく口にした「コンプライアンス」などは、大学生でもスペリングを知っている人はまれでしょう。”comply” (規則に従う)という動詞を思い付けば大したものです。最近の電子辞書の中には、『カタカナで引くスペリング辞典』などを搭載しているものがありますから、これを利用するとスペリングがわり、英和辞典で意味を調べることが出来ます。

(5)NHK の「国会中継」は最も見てはいけない番組だと思います。議長の制止を無視して大声で野次る、居眠りをする、用意した原稿をひたすら読む、質問にまともに答えない、といった手本にならない悪例がほとんどです。一方、NHK の教育テレビは、高校生向きの科目の講座が多いですが、それ以外にも優れた番組があります。11月21日には、東大で収録した「ハーバード白熱教室」を放送しました。アメリカの教授が司会、進行をして時局問題を参加者に考えさせるのですが、全く逆の発想を促したり、ある意見に反論を示したりしながら、視野の広い問題の捉え方を教える見事な技を見せていました。

(6)少し古くはなりましたが、毎日新聞校閲部編『新聞に見る日本語の大疑問』(東京書籍、1999)は、丸谷才一氏推薦の面白い本です。マスコミがうっかり使う日本語の誤用例をエッセー風に論じています。例えば、「ヴ」という表記は、福澤諭吉の思い付きだが、” l ” と “ r ” の区別をやって欲しかった、といった見解が述べられています。テレビ番組の日本語にも誤用が多いので、こういう書物で勉強しておきたいものです。(この回終り)