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英語文法の学習(4)

Author: 土屋澄男

前回、「be+形容詞+to不定詞」というパタンのコロケーションをいくつか取り上げましたが、それと似ているけれども少し異なる次のようなパタンがあり、これも多くのコロケーションを生み出します。

(1) It is necessary to learn English.

(2) It is necessary for you to learn English.

この場合の文頭のItは「形式主語」とか「仮の主語」( ‘dummy’ subject)などと呼ばれており、実質的な内容はto不定詞によって表わされます。また(2)のように形容詞とto不定詞の間にfor ~の前置詞句が挿入されることがあり、forのあとの名詞または代名詞が、そのあとにくる不定詞の意味上の主語を表すことは、皆さん一度は学校で習ったことがあるでしょう。このパタンは、実は、文科省の学習指導要領では中学校で指導すべき文法事項(文構造)となっています。ですから、これはすべての日本人が義務教育を修了するまでに必ず学習することになるわけです。面白いことに、これは日本人が最も好む英文パタンの一つのようで、そのことを日本にいる外国人から指摘されたことがあります。そう言えば筆者もよくこのパタンを使ったものです。次のように応用がきくからです。

It is easy (difficult, exciting, interesting, remarkable, surprising, wonderful, etc.) for ~ to ~.

日本人がこのパタンを好む理由を分析すると、第1に、このパタンは非常にすっきりとした形態をもっており、記憶に留めやすいこと、第2に、これは話者の主観的印象や判断を述べるときに有用なパタンで、まずその印象や判断を知っている形容詞を使って端的に表現できること、第3に、「ダミーのit」を文頭に置くことで、その内容をまとめるのに心理的・時間的余裕をもつことができることです。It is very difficultとまず言っておいて、その短い時間に、あとにつなげるべき内容を不定詞の形にして、頭の中にまとめるというわけです。

 ところで、上記のパタンで、間に挿入されるfor~の前置詞句がof~に代わることがあります。それは、前置詞の前に置かれる形容詞の性質に関係があるようです。研究社の新英和大辞典第6版には、この場合のofは「行為を特徴づける形容詞に伴って行為者を表す」と書かれ、次のような例が挙げられています。

It was foolish, (cruel, clever, naughty, rude, unkind, good, kind) of you to do so.

つまり、人の行為の特徴を表す形容詞が使われるとき、それに言及される行為者にofが使われるというのです。ですから、場合によっては行為者の道徳的特徴を示唆するようなニュアンスが生じますので、特に否定的意味を含む形容詞では行為者を侮辱することもあります。 ‘It was stupid of you to do so.’「きみは愚かだったね、そんなことをするなんて」は、まるで、愚かなことをするのがその人の性質の一部であるかのようです。そういうニュアンスを和らげるために、 ‘It was stupid for you to go there.’ という言い方も可能のようです。

 これまでに述べた「仮主語のit」のパタンに関連して、to不定詞の代わりにthat節が使われる例を見てみましょう。「It+be動詞+形容詞+that節」の形になります。このパタンも多くのコロケーションを作りますので、英文を作るときに利用するとよいでしょう。

It is likely (probable) that ~(おそらく~だろう)/ It is natural that ~ / It is impossible that ~ / It is strange that ~ / It is wonderful that ~

Be動詞のあとに、形容詞の代わりに名詞句がくることもあります。たとえば、

It is no wonder that ~(不思議ではない)/ It is a matter of life and death that ~(死活問題だ)

読者は、こういうコロケーションを集めていったらキリがないと思われるかもしれません。たしかにそうです。かつて、そういうことに一生をかけた英語学者がいらっしゃいました。Kenkyushsa’s New Dictionary of English Collocations (1958) をお書きになった勝俣銓吉郎先生がそうでした。現在もそういう方が何人かいらっしゃると思います。しかし一般の英語学習者は、そのようなことはできないでしょう。各自の学習目的に従って、必要と思われるコロケーションを覚えて使えばよいわけです。その場合に、面白いと感じたコロケーションに出合ったらそれを書きとめておき、ここで今やっているように、文型や動詞パタンに分類しておくと記憶の助けになり、また頭の整理にもなるわけです。次回からは名詞句のコロケーションを見てみましょう。(To be continued.)