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前回のテキストの空所に当てはまる答えは、 与えられた選択肢の中から選ぶとすると、‘they share some interesting characteristics with each other’ です。この問題は、テキストを読んで談話の流れをつかむことができさえすれば、さほど難しくはないでしょう。しかしこれを完全な記述問題にすると、受験者は多くの言語技能を動員しなくてはならないので、たいへん難しい問題になります。その採点にも手間がかかり、実践面で難しくなります。入試センター試験には50万人以上も受験しますから、採点を考えると記述問題を取り入れる余地はないと思われます。一方、各大学で行なわれる試験では記述式が増えてきました。先月26日に行なわれた東京大学の英語でも、記述問題が相当部分を占めていました。現状では、センター試験のマークシート方式でリスニングとリーディングの基礎学力を測定し、各大学の入試では記述式によってより深い理解力や発表力をみるという傾向になっています。少なくとも国立大学入試はそういう方向に進んでいるようです。これに対して私立大学によるセンター試験の利用方法はさまざまで、国立大の場合とは事情が違っています。なかには学生を集めるためにセンター試験の結果だけを利用するというような、安易な選抜も行なわれています。

 以上で英語語彙と文法の基礎的知識・技能に関わる問題を見てきましたので、次に大学入試センター英語筆記試験から、その主要部を占めるリーディングに関わる問題を取り上げます。それらはリーディングのどんな力をみようとしているのでしょうか。また、それらの問題に取り組むことで、学習者は自分のどんなリーディング力を評価することができるでしょうか。以下に少し詳しく見てみましょう。

 今年のセンター試験のリーディング問題は、次の5種類の設問から成ります。

3問A:英文テキスト中の下線を施した語句について、その意味をコンテクスト(前後関係)から類推し、与えられた選択肢の中から正答を選ぶ問題。2問から成る。

4問A:英文テキストと図およびグラフを読み、下に示された問い(問1~3)の答えを選択肢の中から選ぶ問題。

4問B:コンサートの広告を読み、その内容に関する問い(問1~3)の答えを選択肢の中から選ぶ問題。

5問:英文テキストを読み、その内容に関する問い(問1~5)の空所に入れるべき語句を選択肢の中から選ぶ問題。英文テキストは、「留学プログラムの説明会の中で、バンクーバーの大学に3カ月間留学した二人の学生が、それぞれの体験を語っているもの」という設定になっている。

6問:英文テキストを読み、Aは下の問い(問1~5)の空所に入れるべき語句を選択肢の中から選ぶ問題、Bはテキストの各パラグラフの内容を表す語句を選択肢の中から選ぶ問題。英文テキストは6つのパラグラフ(段落)から成り、それぞれのパラグラフのヘッドに(1)から(6)までの番号が振ってある。

 まず第3問Aについて。これはリーディングテストとして注目すべきもので、未知語の推測というリーディングの基本的な技能をみる問題です。問1は説明文、問2は対話文になっていて、それぞれ60語前後の短いテキストです。いずれも受験者の多くが未知と思われる語および慣用句について、それぞれ下に与えられた選択肢(他の英語への言い換え)の中から答えを選ぶことになっています。紙面の都合で問1のみを引用します。

     Mr. Matsumoto is an English teacher who believes English classes should start with a joke. He always tries hard to create funny jokes. Some of his students have complained about his jokes being a waste of time. His colleagues also have advised him not to spend so much time writing jokes. However, Mr. Matsumoto is such an obstinate person that he will not listen to them and continues to spend a lot of time making up jokes for his classes.

In this situation, an obstinate person means a person who is ____________.

正解は選択肢の中の ④ unwilling to change his mind です。受験者がobstinateを知らなくても、その意味がコンテクストから容易に推測することができるようになっています。Bのテキストで問題にされているのは ‘right as rain’ という慣用句ですが、これもテキストの内容が理解できれば容易に推測できるものです。私たちは日常のリーディング活動の中で、このような推測(guessing)を常時行なっており、そのような推測能力を養うことがリーディング練習の重要なポイントの一つとなります。学習者は、辞書を引く前にコンテクストから未知語を推測するような読み方を、常時心がけるべきです。(To be continued.)