Archive for 9月 3rd, 2011

< 原発論争に備えて ① > 松山 薫

 前回、「原発問題は、我々の未来を卜する問題だから、国民的議論が必要である」と書いたが、その日の夜、NHKが「日本新生‐どう選ぶエネルギー」という討論番組を放送した。5人のパネリストと30人ほどの市民が出席し、活発な意見がかわされた他、メールでの参加者からも、1万を超える意見が寄せられた。この番組で出た意見を私なりに整理して、皆さんが論争に加わる際の参考に供したい。それぞれの意見に賛成するのか反対するのか、その理由は何か、その理由の根拠や裏付けはあるのかを考え、一人一人がどう原発に向き合うかをさぐる手がかりになれば幸いです。

1. 原発の是非

〇 原発を使うなら、事故にあう覚悟が必要。
〇 何で東京のために福島が犠牲になるのか。
〇 原発がいるなら東京湾の品川沖に作れ。
〇 リスクを負う人と利益を得る人が異なるのはおかしい。
〇 使用済み核燃料の再処理はうまく出来るのか。
〇 原発は、ブレーキのない車と同じだ。
〇 原発で生活を破壊しておいて、生活には原子エネルギーが必須という議論はおかしい。
〇 地震をどう考えるのか。
〇 福島の惨状、被災者の苦労を見ながら、なお原発に頼ろうと 言う意見は理解できない。
〇 原発の再稼動には、知事の承認だけではなく、地元の住民投票が必要。
〇 福島で何が起きており、そこから何を学ぶか、まだ全体像が明らかになっていない。
〇 考えるための、データが十分でない。
〇 火力発電はCO2の排出で環境を汚染する。
〇 原発なしに地球温暖化は防げない。原発なしで、CO2 を 2020年までに25%削減するという
       国際公約は守れない。
〇 電源は色々なものを組み合わせることによって、電力供給が安定する(ベスト・ミックス)
〇 より安全な原発を開発すべきである。日本にはそれだけの技術力の蓄積がある。
〇 原発のリスクを減らす努力はしているが、セロにはならない。
〇 新技術の開発には時間がかかるから、当面は原発の再稼動が必要。
〇 10年先の電力供給計画は、今から立てねば間に合わない。

2. 自然エネルギーの開発

〇 電力は安定的に供給することが大事であり、原子力発電に はそれが出来るが、
       自然エネルギーは不安定である。
〇 自然エネルギーは、スマートグリッド(次世代送電網)で一元的に管理すれば、
       安定的に供給出来る。
〇 地方で自然エネルギーの小規模発電を行なえば、都会への集中を解消し
       人口や企業の地方分散にも役立つ。
〇 燃料電池(水素による発電)は有望だと思う。
〇 火山国日本に豊富な地熱資源の開発を進めるべきだ。
〇 原発開発の技術や資金を他のエネルギーの開発に向ければ、エネルギーの転換は可能。
〇 再生エネルギーの買取制度は世界80ヶ国以上で採用されている。
〇 この制度によって、新エネルギー産業への参入が容易になる。新エネルギー産業が、
       廃止される原発労働者の受け皿になる。
〇 買いとり価格によっては、電力会社の経営が不安定になり、価格を引き下げれば
       新エネ産業に参入した企業が倒産する。
〇 原発を推進するために、他のエネルギー源を使わないように仕向けてきたのではないか。
〇 メールでの意見では70%が自然エネルギーの開発を優先すべきだと述べている。だったら政府は、
       それを具体化すべきだ。

3. 電力料金

〇 石油危機でエネルギーを原子力やNLGに頼るようになった経過を忘れるべきでない。
〇 原油価格はここ10年で5倍に高騰し、将来はもっとあがる。火力発電に頼れば電気料金も高騰する。
〇 原発を持っていることは、国際的な石油価格の取引で、交渉条件を有利にしている。
〇 安定的で安い電気の供給が得られないと、企業は海外に移転し、雇用が減少する。
〇 国際競争力が落ちれば、外貨が減って原油の輸入が難しくなり、火力発電に頼れなくなる。
〇 原子力は発電コストが安いというのはまやかしだ。色々隠れた費用がかかる。
〇 原発は一旦事故が起これば、処理費用が莫大になる。
〇 日本の電気代は高すぎる。条件が同じ様な韓国の倍以上である。
〇 韓国は政府の補助がある。
〇 自然エネルギーは原料費がただだから、初期投資が終れば、電気料金は安くなるはず。

4.発・送電システム

〇 蓄電技術を開発すれば、再生可能エネルギーを含め電力の安定供給は可能。
〇 全国10社の電力の寡占体制が、電気料金値下げ、電力供給の安定化、
       配電などの障害になっている。
〇 しっかりした電力会社がなくなると、僻地や離党は電力の安定供給が心配だ。
〇 日本の電気業界は、電気事業法でがんじがらめになっている。この規制をはずせ。
〇 周波数の壁を乗り越えて、全国的に電力を融通しあうことは出来ないのか。
〇 送・配電の分離など電気事業の再編によってかかる費用は国策として
       税金でまかなってもよいのでは。
〇 スウェーデンで実施されているように、消費者がエネルギー源を選べるようにすべきである。
〇 選択可能にすれば企業は、安い原子力エネルギーを選び、原発はなくならない。
〇 だから、選択肢から原子力を除くべきだ。
〇 発電、送電の自由化が必要。

5.ライフ・スタイル

〇 自分の生活だけを考える考え方を止めるべきだ。
〇 何よりも人の命が大切。豊かな暮らしか原発かという問題の立て方はおかしい。
〇 暮らしを見直す必要がある。
〇 真の豊かさとは何かを考えるべき。
〇 生活レベルを下げても原発はなくしたい。
〇 日本をどういう国にしたいのかを考えることが先決である。
〇 日本の産業の競争力が落ちてもよいのか。豊かな暮らしはいらないのか。
〇 理想で飯は食えない。
〇 現実の生活を考えれば、いつまでも、理想論や、空論を戦わせている暇はない。

6.節電

〇 エネルギーの地産・地消で、職住接近が図れる。電車なども減らせて、節電になる。
〇 電力は本当に足りないのか。徹底的に検証する必要がある。東電や政府の数字は信用できない。
〇 日本は照明が多く、強すぎる。
〇 病院は停電になると患者の命にかかわる。
〇 今夏の計画停電、節電は本当に必要だったのか。発表され た数字は信用できない。
〇 計画停電は、原発の必要性をアピールするための作戦では なかったか。
〇 節電より、新しいでエネルギー源を考えたり、innovationを考えるべきだ。

                  以上