Archive for 11月 6th, 2010

< 電子書籍の衝撃 >               松山 薫

「電子書籍の衝撃」(佐々木俊尚著)を読んでショックを受けた。この著者によると、
iPadなどの電子書籍用端末(タブレット端末)の出現は、グーテンベルグの印刷術の発明以来の出版革命で、電子書籍の普及によって著作者から読者へ直接著作物が渡ることになり、出版社や編集者、取次ぎ、書店は中抜きで、存在しなくなるというのである。私のように本を書いて暮らし、身内に出版社や教材出版社を抱えている人間にとっては他人事ではない。そこで、電子書籍関連の本や雑誌を7冊読んでみた。「電子書籍の衝撃」「電子書籍元年」「電子書籍入門」「電子書籍の基本」「電子書籍スタートアップガイド」「電子書籍でつかむビスネスチャンス」「電子書籍の時代は本当に来るのか」以上7冊である。で、ショックの内容がわかったかというと、よくわからない。未だなんともいえないというところである。数年前にe-learning騒動というのがあって、e-learningで、学校は要らなくなるというようなことが言われた。そうすると、我々が全国に展開している協力校はどうなるのだということで、この時もかなり勉強した。たしかに、知識を伝えるだけなら、何も学校を作って、同じ時間に、一ヶ所に生徒と教師を集めて学習活動をするなどというのはカネと時間の無駄だ。しかし、学校の役割はそれだけではない。人間が直接触れ合ってこそ伝えられるものがあるからだ。やはり、e-learningが学校に取って代わることはなかった。ただ、その時に勉強して頭に残っていたことがある。それは、書籍のデジタル化は進むのではないかということだ。そして、その順序は、辞書、辞典→新聞→実用書→文芸書→雑誌ということになるだろうということだった。やはりそのように進んでいるようである。私は仕事上、辞書や辞典が相当要るし、新聞の縮刷版も朝・毎・読・日経を10年分保存していたから、6畳一部屋では足りず、廊下まではみ出して、危険になってきたので、とうとう田舎に部屋を買って本を疎開させることになってしまった。ところが、そのうちに辞書辞典類はもとより新聞の縮刷版もCD化されて、3LDKの我が家でも十分保管できるようになり、田舎の部屋は売り払った。クラウド・コンピューティングになれば、CDその他のソフトも要らなくなるらしい。世界一の英語辞典であるOEDは、もはや紙の版は作らないというし、新聞も次ぎ次に、on-line化されている。となると、次は実用書つまり、我々の本である。そこで、老眼に鞭打って猛勉強したのだが、上記のような結果だった。しかし、電子書籍には、e-learningとは異なる可能性がありそうだということも感じ取ることができた。紙の本がなくなるかどうか、わからないが、電子書籍では紙の本では出来ないことが可能になるのはたしかである。しかも、実用書にとってそれはまさに、夢の手段を提供してくれそうなのである。そこで、これまでに書いた10冊の教本を電子書籍化する夢を見ることにした。そのまま合本すると2千ページを超えるが、電子書籍にはページ数の制限はないから可能である。それを全部通しページにして、これをアプリ化すると、夢のようなことが出来そうなのである。夢であるから実現するかどうかわからない。しかし、教材作り30年のわが人生最後の夢にはふさわしいように思う。仲間にその夢を語ったら、早速4人が、一緒に夢を見ようということになり、“夢クラブ”を結成した。(M)