Archive for 3月 19th, 2012

大学入試問題に使われる長文テキストには、多くの場合、エッセイまたはエッセイの一部が用いられます。エッセイというのは、あるテーマについての小論、評論、随筆などですが、英語文化では論理的に構成されたエッセイが好まれるので、入試問題のテキストとしてそういう文章が選ばれることが多いわけです。エッセイを書くときには、著者はアイディアごとに数個のセンテンスから成るパラグラフにまとめ、それらをいくつか統合して一つのエッセイを構成します。それぞれのパラグラフは、英語でも日本語でも、行を改めることによって他のパラグラフと区別します。大学生が受講する科目の中で課される「レポート」がエッセイ・ライティングの一例です。「OOについて2,000字くらいの文章にまとめよ」というような課題が与えられ、それについて学生はエッセイを書くことになります。また、文筆家があるテーマについて自分の考えを表明するために書く文章なども、エッセイ・ライティングの典型的なものです。その場合には、そのエッセイは本や雑誌やブログなどに掲載されることが前提で書かれます。

 今年の大学入試センター試験のリーディング問題に使われているテキストも、その大部分がエッセイと言えます。ここでは特にその第6問に注目します。これは6つのパラグラフから成るエッセイで、エッセイ全体の主要テーマに関する設問と共に、それぞれのパラグラフのヘッドにパラグラフ番号が付され、それぞれの内容について問いが作成されています。これは明らかに高校の英語の授業でしばしば行なわれている「パラグラフ・リーディング」を意識した問題です。そのパラグラフ(1) は次のようです。

(1)  A high school student has a science test on Monday but spends most of the weekend playing video games and does not start studying until late Sunday night. This kind of avoiding or delaying of work that needs to be done is called procrastination. It has been estimated that up to 95% of people procrastinate at least sometimes, and about 20% of them do it too much. Traditionally, people who procrastinate have been considered lazy, but research tells us that this is not true. Learning about the roots of procrastination can help us understand why most people do it to some extent and also help us decrease our own procrastination. Although researchers do not agree on all the reasons behind procrastination, there is general agreement about some factors that can explain it.

ここでこのテキスト全体のテーマが示されています。つまり、この文章の筆者が何について述べようとしているかが書かれています。最初の2つのセンテンスでテーマの提示がなされ、この文章のキーワードが ‘procrastination’ という語であることが分かります。この語は多くの受験生にとって未知語と思われますが、そこで躓いてしまう人は、リーディングの基本技能の一つである「未知語の推測」に欠けていることになります。冒頭の2つのセンテンスから、この語が「する必要のあることを避けたり、先に延ばしたりすること」という意味であることが分かるからです。そして、このパラグラフの最後の2つのセンテンスから、この文章の筆者は ‘procrastination’ をもたらす要因について以下に述べようとしていることが分かります。

 そこで次をみると、パラグラフ(2)~(5) において、‘procrastination’ の4つの要因が順に提示されていることが分かります。それぞれのパラグラフの冒頭のセンテンスは次のようです。これらを読むだけでも、著者がどんな要因を挙げようとしているかをほぼ理解することができます。

(2) The first factor is how pleasant or unpleasant people find a task.

(3) In addition to how people feel about the job at hand, the amount of confidence they have in their ability to do a task is also related to procrastination.

(4) Another factor is whether or not people can exercise self-control.

(5) Lastly, there is a link between procrastination and how long people must wait before they see the reward for an effort.

こうして読み進んでいくと、筆者は最後のパラグラフ(6) でこの文章の結論を導いていることが分かります。このようなパラグラフ構成は、エッセイ・ライティングの典型的なものです。そのことを知っていれば、この種のエッセイは短時間で、効率的に読むことができます。このテキストは全部で約600語ですが、このような文章を読み慣れた高校生3年生には、5,6分もあれば全体の内容を把握することはさほど難しくないと思います。まだその域に達していない人は、それが当面の到達目標になります。                             (To be becontinued.)