5月
17
2014
世相を切る!私の社会論(その54)(若者と戦争)
Author: 浅野 博(1)私(浅野)も松山さんのブログに刺激されて書きたくなりました。いや、書かざるを得ない気持ちです。TBSのラジオで先日聞いたのですが、日本の都会では様々な理由で“ホームレス”となって、公園や河原で暮らしている人たちが結構いるそうです。そういう人たちが夜間眠っているところへ、10代、20代の若者たちが市販の花火を数百発も投げ込んだという事件があったとのこと。警察に補導された若者の一人は、「あんなことをしたら、ホームレスの人は死んだかも知れないぞ」と言われて、「ホームレスなんか日本の恥だから、死んだほうがましだ」と答えたというのです。
(2)「人間が死んでも構わない」というのは、正に“戦争肯定”の考え方です。若者の残忍性で思い出すのは、平成9年の“酒鬼薔薇(さかきばら)事件”(1997)です。14歳の中学生が小学校低学年の男女生徒を金槌などで殴って、2名が死亡し、3名が重傷を負った事件でした。事件発覚後は警察の対応の遅さが批判されました。今日でも、ストーカーによる殺人事件がよく起こります。東京は世界で最も危険な都会の1つだと思います。
(3)東京新聞(5月17日)には、第1面の見出しが、「汚染水外洋流出続く」とあって、「首相の『完全ブロック』破綻」となっています。つまり安倍首相は“オリンピック誘致”のためには、完全にうそをついていたことになります。首相は東京新聞のような政権批判の強い新聞など見ないでしょうが、この日の東京新聞は“集団的自衛権”についても、分かりやすい解説記事をイラスト付きで載せています。
(4)その見出しには「他国へのケンカ買う」とあります。どういうことかと言えば、直接に日本がある国から攻められたら“個別自衛権”で戦う。しかし、アメリカのような同盟国の艦船が攻撃を受けた場合には、それを救援するために日本も戦うのが“集団的自衛権の行使”になるという説明です。
(5)安倍首相は5月15日の記者会見では、「あなたの家族が危険な目に合っている時に、自衛隊が救出に行けるのです」というような話をしましたが、普段は政治問題にそれほど関心のない人たちは、「それは当然なことだ」と考えるでしょう。しかし、その危険な状態はテロによる攻撃かも知れません。テロリストは攻撃されれば、執拗な復讐を繰り返すはずです。日本の無防備な原子力発電所が攻撃されたら、その被害は甚大なものになるでしょう。
(6)私はだいぶ前に、「戦後間もなく日本はスイスのような永世中立国の宣言をすべきだった」と書いたことがありますが、現在の政治の動きは全く逆の方向に進んでいるのは、大変に危険なことです。そして、そういう危険性を訴えるのは、第2次大戦と敗戦を経験した世代の人間の義務だと考えます。このままでは、そのうちに“徴兵制度”の実施になるかも知れません。親として子供を戦場に送るようなことを許してよいのか、と問いたいと思います。(この回終り)