Archive for 7月 4th, 2013

これまで2音節以上の語の強勢規則を見てきましたが、単音節の短い語の場合にはどうなるかを見てみます。単音節の語には強勢があるものと、ないものとがあります。どういう語に強勢があり、どういう語に強勢がないかを例文によって考えてみましょう。次の文はすべて単音節の語から成っていますが、これを音読するときの強勢はどうなるでしょうか。

(1) She was a slim girl with large dark eyes.

まず、この文の読み方を知るには、これがどのような場面で使われた文かを知る必要があります。最初の ‘She’ は、たぶん、この文の前にすでに言及された「女の子」を指していると考えられます。するとこの文は、その女の子について二つの情報を提供しています。第一は「その女の子はほっそりした子」であったこと、第二に「その女の子は大きな黒目がちの目をしていたこと」です。英語をすでに知っている人は、これを音読するのは難しくないでしょう。声を出して読んでみてください。すると、強勢を置いてはっきりと発音する語と、強勢を置かずに弱く発音する語があることに気づきます。たぶん次のようになるはずです。

(1’) She was a slim girl with large dark eyes.

つまり、強勢が置かれる語はsmall, girl, large dark, eyesの5語で、これらはメッセージを伝えるのに意味的に重要な役割を担っている語です。強勢がなくて弱く発音される語はshe, was, a, withの4語で、これらは文の構成に必要な文法的な役割を担っている語です。以上のことを文の一般的な強勢規則として述べるならば、「名詞、形容詞、副詞、一般動詞には強勢を置く」のに対して、「冠詞、代名詞、助動詞、前置詞、接続詞、およびbe動詞などの特殊動詞には強勢を置かない」ということになります。これが文強勢の第一規則です。前者(名詞、形容詞など)を「内容語」(content word)と呼び、後者(冠詞、代名詞など)を「機能語」(function word)と呼ぶことがあります。

しかしこの文強勢の第一規則はあくまでも原則であって、あらゆる場合に通用するわけではありません。言葉(とくに話し言葉)は場面や状況の影響を受けやすいので)、音調や強勢はコンテクスト(context)によって変化します。たとえ機能語であっても、その語をとくに強調したい理由があれば、どんな語にも強勢が置かれる可能性があります。二つばかり例をあげましょう。

(1) “Are you a school teacher?” — “I was. But I’m now a computer engineer.”

(2)  I’ve been learning Vietnamese for two years. The trouble is, it’s not at all easy to master.

このように、ふだんは強勢を置かないbe動詞に強勢が置かれることがあります。その理由は、話者がそこを強調したいからです。「文の中でとくに強調される語には強勢が置かれる」というのが、文強勢の第二規則です。英語の母語話者はこういう強勢の仕方を自然に使えるようになっていますが、私たちのように外国語として英語を学んでいる者は、なかなかこのようにはなりません。筆者もそのような者のひとりです。くやしいと思いますがどうにもなりません。しかしそのような強調の仕方に出合ったとき、話者のその気持ちを理解することはできます。また、書かれた英文を音読するときには、テキストを研究することによって、強勢の置かれる個所を特定して正しく読むことは可能です。

これに加えて注意すべき大切なことがあります。それは、isやwasに強勢が置かれるときとそうでないときでは、発音が異なることです。つまり、機能語は強勢があるかどうかで発音が違うのです。母語話者はこのことに自然に気づいて身につけますが、外国語学習者にはなかなかできません。isは強く発音するときは /íz/ ですが、弱いときには母音がほとんど消えて /z/ のようになります。wasは強いときは /wαz/ ですが、弱いときには母音が曖昧化します。たいていの辞書は見出し語の後にその発音が記号で表記していますが、多くの機能語には発音が「強形」(strong form) と「弱形」(weak form) に分けて表記されています。次に弱形をもつ主な機能語を種類別に挙げますので、それらの語の発音を辞書で確かめてみてください。多くの学習者は強形を知っていても、弱形にはなじみがうすいと思われます。ただし、弱形の発音記号を記憶する必要はまったくありません。弱く発音すると自然にそうなるものと理解できればよいのです。

・冠詞:a, an, the.

・代名詞:he, she, we, mi, him, us, them, my, your, his, her.

・特殊動詞:am, is, are, was, were have, has, had, do, does.

・助動詞:will, shall, can, must, would, should, could.

・前置詞・接続詞:as, at, and, but, for, from of, to.      (To be continued.)