Archive for 7月 6th, 2013

(151)参院選管見 松山薫

Author: 松山 薫

(151)参議院選挙管見 松山薫

 第23回参議院議員通常選挙が公示されたので、数回にわたって参院選管見を投稿したい。

① 参院選概観   ② 原発の是非   ③ 憲法改正問題  
④ ~ ①の概観に基づく参院選結果の
   分析と私見

① 参院選概観 
  ( 私が投票行動を決めるための基礎      資料。御参考までに )

◎ 参議院議員通常選挙の意義 

 参議院は長らく衆議院のカーボンコピーとみなされ、参議院議員は衆院選の落ちこぼれや、衆院への腰掛け議員が多く、院も議員も半人前と軽視されてきた。また、議員の数が少なく(定員242)、3年に1回の通常選挙は、半数改選のため院の構成に大きな変化をもたらさないことが多い。従って有権者の関心も薄く、投票率は常に直近の衆議院総選挙をかなり下回って来た。しかし、昨年末の総選挙で自民党が圧勝し、公明党との連立政権与党が衆議院で3分の2の多数を超えたことから、今回の選挙で同じ様なことになれば、次の衆議院総選挙まで少なくとも3年間、国の根幹にかかわる重要問題を、自民・公明の連立政権に白紙委任することになる。
衆議院では、「憲法違反」の一票の格差を是正しないまま、史上2番目に低い投票率の中で、民意を反映しない巨大与党が出現することになった。今回の参院選挙でも、衆議院よりはるかにひどい一票の格差(4.77倍)の中で、再び低投票率となり、民意を反映しない結果が生ずれは、代議制民主主義は危機に瀕することになるだろう。無関心が思わぬ結果を招くから、私はまず投票率に注目している。
  
◎ 投票率

参議院選挙
平成10年 13年 16年 19年  22年
 58.8  56.4 56.6 58.6 57.9
衆議院選挙
平成12年 15年 17年 21年 24年
62.5 59.9 57.5 69.3 59.3

衆議院選挙の5回平均 63,7%−参議院議選挙の5回平均 57.7% = 6%

一方、直前に行なわれた都議選よりは平均して9%程度上回っている。

都会議員選挙
平成13年 17年  21年   25年
 50.0  44.0  54.5  43.5
参議院選挙
平成13年  16年   19年   22年
 56.4   56.6 58.6 57.9

参議院選挙の4回平均 57.3−都議会選挙の4回平均 48.0= 9.3%

 これらの数字から単純に計算すると、今回の参議院選挙の投票率は50%台前半ということになる。今年の都議選の投票率は過去2番目の低さだったが、参議院選挙もそのあたりになる公算が強い.(過去最低は平成7年の44.5%、2番目に低いのは平成5年の50.7%)

◎ 投票率は次のような要素によって上下するといわれる  さて今回はどうなるか。

1.接戦だと投票率は上がる。
2.争点が明白だと投票率はあがる。
3.不在投票が多いと投票率が上が。
4.雨天だと投票率が下がる。
5.インターネットの活用の巧拙

◎  今度の選挙の争点

1.ねじれ解消  2.景気対策  
3.原発の是非  4.憲法改正問題

 安倍首相は、通常国会閉会直後の記者会見で、「6年前の参院選で大敗し、ねじれを生じさせたのは私の責任であり、全てはそこから始まった。ねじれを解消するのは私の責任である」と述べ、「ねじれ」をいう言葉を20回以上も使った。だが、「ねじれ解消」は本当によいことなのであろうか。 第一次安倍内閣の与党であった自民党に鉄槌を下し、結果として「ねじれ」を生んだのは国民の意思である。安倍首相の会見を聞いていて、国民の意思というものをどう考えているのだろうかという疑問を持たざるをえなかった。党大会で自らの責任をあげつらうのは勝手だが、国民に向けた記者会見で言うのは的外れだろう。ねじれが常に悪いというなら、日本維新の会が公約しているように、一院制のほうがよいということにもなりかねない。多くの国があえて2院制を選択している意義をもう一度良く考えてみる必要がある。

◎ ねじれ解消の条件

各 党 勢 力 
 < 定員  242  改選  121 >  
 自民・公明・みんな・維新・改革・
 民主・生活・共産・社民・みどり・ 他・欠員

公示前 84・19 ・13・3・2・
      86・8・6・4・4・8・5
非改選 50・9・10・1・1
      42・2・3・2・0・1・0
改選   34・10・3・2・1
      44・6 ・3・2・4・7・5

* 改選121議席の内、自民党、公明党が63議席を獲得すると、参議院で過半数122を制する。
* 改憲発議に必要な3分の2、162議席を自民党単独で得ることは不可能だが、自民、みんな、維新、新党改革の改憲勢力の非改選62に加え、改選で100議席を獲得すれば3分の2に達する。その他の非改選の1人は、改憲勢力と見られる。

◎ 2院制と1院制のメリット、デメリット     (国会図書館「調査と情報」)

 2院制のメリット
  ⅰ.立法機能の分割により、立法府が      全能となることを抑止
  ⅱ.拙速を避け慎重に審議
  ⅲ.第1院の衝動的な行動をチェック
  ⅳ.「数」を代表する第1院に対し、第2      院が国民の「理」・「良識」を代表
  ⅴ. 国民の多様な意見や利益をきめ細     かに代表
 2院制のデメリット
  ⅰ.第2院が強い拒否権を持つ場合、立     法上の行き詰まり生ずる。
  ⅱ.両院の機能が重複している場合、      非効率になり、政策決定が遅延。
  ⅲ.両院の意志の疎通をはかる必要が     あり、立法課程が複雑化
  ⅳ.第2院の維持に係る諸経費が必要
  ⅴ.第2院の意見が第1院によって無視    されるようになると、2院制の有効      性、政治的正当性が喪失

 それでは、維新の会が主張するように1  院制にしたらどうなるか。
 1院制のメリット
  ⅰ.立法上の行き詰まりが生じにくい
  ⅱ.効率的な審議。政策決定の迅速性
  ⅲ。立法過程の単純化
  ⅳ.第2院の維持に係る諸経費が不要
 1院制のデメリット
  ⅰ.立法権がひとつの機関に集中する
  ⅱ。慎重審議の点で劣る
  ⅲ.第1院の衝動的行動がチェックでき     ない
  ⅳ.1院の数の代表となるのみ
  ⅴ.国民の多様な意見や利益を、きめ      細かく代用させにくい

◎ 景気対策

 アベノミックスであれなんであれ、6割の人が生活が苦しい状態(厚生省生活基礎調査)の中で、特に、低賃金であえぐ人達や、少ない年金で最低生活を余儀なくされている高齢者にとって、少しでも景気がよくなり、その”滴り”が落ちてくるのを待ち望む気持ちを持つのは当然であり、私自身も失業の中で味わった苦悩を思うと、景気対策や社会保障が有権者の最大関心事になるのは当然であると思う。しかしあえて言うならば、この国の将来を左右するような原発や憲法の問題が、経済問題一色の中で隠されてしまうこによって、将来に深刻な禍根を残す恐れが強い。
 また、アベノミックスについては、経済専門家の間にも賛否が入り乱れており、経済に疎い私には判断がつきかねる。ただ、常識的にいって、長期にわたる自民党政権やその失政を批判して政権についた民主党が、克服できなかった難問を一気に解消してしまう魔法のような方法があるとは思われないし、金利の上昇による国債の暴落、財政破綻という悲劇が起こる可能性は否定できないだろう。さらに、アベノミックスは、気まぐれな市場の動向や、米欧中の景気動向など外的要因によって左右されるため、目標は立てたが工程があやふやで、先行き不透明である。

◎ 原発の是非と憲法改正問題 について  は次回、次次回に述べる。

◎ 今度の選挙で各党が一番訴えたいこと ( 7月3日 日本記者クラブ党首討論 )

○ 自民党(安倍)強い経済 
○  民主党(海江田)暮らしを守る力になる
○ 公明党(山口)国民目線に立つ
○  みんなの党(渡邊)たたかう改革
○ 維新の会(橋下)既得権打破 
○  生活の党(小沢)命、暮らし、地域 を守   る
○ 共産党(志位)自民と対決  
○  社民党(福島)強い国より優しい社会
○ みどりの風(谷岡)共生社会の実現

< 各党の選挙公約 >

(経済)  (原発)  ( 憲法)  (その他)
自民党  競争重視  再稼動推進     96条、9条改定  ねじれ解消
公明党  成長戦略実行  ゼロへ       96条慎重、加憲  ねじれ解消
民主党  中間層重視   2030年セロ   96条先行反対  議員定数削減
みんなの党 所得50%UP  2030年ゼロ    改憲先行反対  公務員制度改革
維新の会  競争徹底    脱原発依存     96条改正  道州制・首相公選
生活の党   生活第一 0年後原発ゼロ   96条、96条堅持
共産党 富の分配重視  原発即時ゼロ    護憲       
社民党 富の分配重視  脱原発   護憲
みどりの風  共生社会実現 再稼動反対    96条改正反対  若者女性の幸せ

◎ 議席獲得数に影響する要素 
  さて今回はどうなるか。

1.風 : つまり 世論の動向
2.選挙期間中の突発的重大事件
3.政策 :選挙公約の内容とアピール度
4.組織 :党組織、個人組織(後援会)、支援団体(労組、農協など)の規模と動向
5.候補者の経歴、知名度
6.選挙戦術 : 選挙協力(立候補者調整) 複数定員区での同一政党の候補者 7.失言・スキャンダル
8.インターネット活用の巧拙 : 今回は   90%の候補者が使用している

以上のような基礎資料を頭に入れて、投票日までの間、新聞やTVの選挙報道をチェックしながら、私は、自分の投票行動を決める。よろしければ、選挙の手引きとして活用していただければ幸いである。(M)